新型コロナウイルス対策として在宅勤務を中心としたテレワークが普及する一方、テレワークに取り組むビジネスパーソンにとってコミュニケーションは依然、大きな課題になっている。解決しないと業務の停滞などを招きかねない。そこでテレワーク先進企業の取り組みを中心に、課題の解決策を紹介する。今回も「企業と社員」の間のコミュニケーション活性化策の続編を紹介する。

 前回、コロナ下でテレワークを大規模に実施しているテレワーク先進企業では、「企業と社員」の間のコミュニケーション活性化策として、オンライン社内報の活用が進んでいることを紹介した。

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 活性化策はオンライン社内報の他にもある。「イントラネットを会社と社員が双方向にコミュニケーションが取れる場にする」「社員の人柄を深く知る場や機会を設ける」といった取り組みである。今回はバンダイナムコグループで玩具・ゲーム卸最大手のハピネット、化粧品などの開発・販売を手掛けるランクアップ、ぐるなび、コニカミノルタジャパンの4社を取り上げる。

 社内コミュニケーションの活性化につながるコンテンツを若手社員が主体的に制作してイントラネットで公開したり、ある分野の専門家である社員が講師になるオンライン勉強会を開いたりするなど様々な施策を紹介していく。その他、職場にいないからこそ増える社内問い合わせ業務を効率化する各社の工夫を紹介する。

イントラネットの「いいね」ボタンで人気コンテンツが判明

 それまでは会社から社員への情報を提供するだけだったイントラネットに、社員からの「いいね」やコメントを寄せる機能を追加し、その上で多彩なコンテンツを公開──。こうした取り組みで、イントラネットを会社と社員が双方向にコミュニケーションを取れる場にして、全社的なコミュニケーションを活性化させている企業がある。

 その1社がハピネットだ。2020年3月以降、1000人弱いる全社員を対象に在宅勤務を推奨してきた同社は、同年8月にイントラネットをリニューアルした。

 リニューアルでは、各事業部門などが社員に向けて情報を発信する従来の機能に加えて、イントラネットに公開されたコンテンツに対して、閲覧した社員が「いいね」ボタンを押したり、コメントを入力したりできる機能を追加。「社員がメッセージを送れるようになったことで、双方向のコミュニケーションが取れるようになった」と、ハピネット経営企画室経営企画部広報チームの大嶋ゆきみ氏は説明する。

 いいねボタンを追加したことで、人気コンテンツも見えてきた。「人物に関するコンテンツは特に閲覧数が伸びる傾向がある。普段の業務ではなかなか知ることができないことをコンテンツにして発信していくのが大事だと考えている」とイントラネットのコンテンツ企画や制作を担当している経営企画室経営企画部広報チームの渡辺愛理氏は説明する。

役員の「社内履歴書」や社員でつなぐ「他己紹介リレー」が人気

 人物にフォーカスを当てた人気コンテンツは複数ある。役員の経歴や業務、プライベートなどを取材してまとめる「社内履歴書」や、社外役員にハピネットのことを語ってもらう「社外役員紹介」、社員の素顔を紹介する「他己紹介リレー」などだ。

 いずれも社員から好評だ。社内履歴書で、ある役員が過去の仕事上の失敗などを披露したところ、社員から驚きのコメントが寄せられた。社外役員紹介についても、「身近に感じた」「社外役員から当社がどう見えているのかを知ることができて良かった」といったコメントが寄せられている。

 社員に好評なこれらのコンテンツは渡辺氏が手掛けている。渡辺氏は入社してすぐ、2020年4月からイントラネットのコンテンツ企画を担当することになり、社内履歴書や社外役員紹介のコンテンツを立ち上げてきた。「役員にインタビューを依頼して実施したり、コンテンツにまとめたりする貴重な経験ができる」と渡辺氏は話す。

 他己紹介リレーはコロナ前から続いているコンテンツだ。毎月、3人の社員にフォーカスする。その3人の社員を別の3人の社員がそれぞれ紹介する形を取っている。紹介する側の社員には、渡辺氏があらかじめ専用ファイルを送って、紹介したいエピソードや、メッセージなどを入力してもらい送り返してもらう。他己紹介リレーのコンテンツはこうして寄せられたエピソードやメッセージを基に制作している。

 次の月は、前の月に紹介された社員が別の社員をリレー形式で紹介していく。「今月は私が紹介されるかな、とそわそわして待つ社員もいる。社員が別の社員を紹介していく点が好評だ」と大嶋氏は説明する。

ハピネットがイントラネットで公開している「他己紹介リレー」の例
ハピネットがイントラネットで公開している「他己紹介リレー」の例
(出所:ハピネット)
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 渡辺氏は他己紹介リレーを担当して以降、独自の工夫を凝らす。「毎回、見て新鮮さを感じてもらえるように、過去に紹介した他己紹介リレーのコンテンツとデザインなどが重ならないように心掛けている」(渡辺氏)。具体的には、コンテンツ内に配置する吹き出しのデザインやキーワードのフォント、社員の写真の配置などを、こまめに見直している。

 こうした工夫もあって、他己紹介リレーの閲覧数は毎回、多いという。大嶋氏は「M&A(合併・買収)などで会社の規模が年々大きくなっていることもあり、知らない社員も増えてきた。こうした中、社員が別の社員について、人となりを含めて紹介するのが、広く受け入れられている」と説明する。

若手向け動画コンテンツに先輩社員も魅了

 ハピネットのイントラネット上で、社員からのコメントが数多く寄せられるなど、双方向のコミュニケーションが盛り上がるコンテンツは他にもある。「若手による、若手のためのカンパニー講座」と呼ぶ動画コンテンツだ。「会社とは何か」「ハピネットが採用しているカンパニー制とは何か」「組織とは何か」など、テーマを決めて数分の動画をイントラネットで公開している。

ハピネットのイントラネット上にある「若手による、若手のためのカンパニー講座」の公開ページ。数分の動画を複数公開している
ハピネットのイントラネット上にある「若手による、若手のためのカンパニー講座」の公開ページ。数分の動画を複数公開している
(出所:ハピネット)
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 動画は2020年12月から月1回の割合で、順次公開していった。いずれもハピネットの経営企画チームの若手社員と広報チームの渡辺氏が連携して制作した。「イントラネットのリニューアルで動画を公開できるようになったことから、動画コンテンツにも挑戦することにした」と渡辺氏は説明する。

 動画コンテンツのテーマを会社や組織にしたのは、経営企画チームのメンバーから「社員は担当する事業についてはよく分かっているものの、カンパニー制を敷く当社全体のことは十分に把握しきれていないのではないか」といった疑問が湧き上がったことがきっかけだ。会社全体を見渡す観点を持ってもらえるように、若手社員向けに会社や組織に関するコンテンツを制作。先輩社員にも閲覧を呼び掛けた。

 コンテンツはPowerPointで動画を編集しながら制作していった。「動画では、見たときに分かりやすいようにナレーションを吹き込んだり、声だけでは寂しいのでBGMを流したりした。動画の始まりや終わりにフェードイン、フェードアウトをするようにして見やすくする工夫も凝らした」と渡辺氏は振り返る。

 このコンテンツが若手にとどまらず先輩社員からも広く好評を得ている。イントラネットには、一連の動画について、「分かりやすくて良かった」「テンポ良くまとめてあって楽しく閲覧できた」といったコメントが書き込まれている。

 中には「動画の編集力がすごい」「どうやって動画を編集したのか」と、動画編集のスキルの高さに驚く社員のコメントも寄せられている。渡辺氏は「経営企画チームの1年先輩の社員が動画編集に詳しかったので、教わりながら制作した」と明かす。

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