日本企業はこれまで“全体最適”のために、ERP(統合業務パッケージ)中心の基幹業務システムを全社経営基盤として構築してきた。しかし、DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組むようになると、様々な障壁に直面し、思うような成果を出せない事例が多発している。要因の1つとして、全体最適に漏れた個別の業務やシステムを置き去りにした格好になっていることがある。では、どうすれば経営基盤の中に取り込めるのか。本稿では、その方法について解説する。

経営基盤の変革なくして成長なし

 はじめに、個別の業務やシステムをなぜ取り込む必要があるのかを説明する。

 これまでの経営基盤は、自社の主力ビジネスと付随する業務の効率化を重視していた。そのため、現時点では規模は小さいが伸びしろのあるビジネスや、主力ビジネスに直接関係しない業務を経営基盤に取り込まないケースが多かった。そうした業務のIT化は、必要に迫られた個々の部門が独自に対応するしかない。結果として個別システムが乱立し、データの分断を招いている。

 一方、デジタル時代に企業が備えるべき新たな経営基盤は、主力ビジネスの効率化とともに、成長ビジネスの拡大と新規ビジネス創出のスピードアップに貢献できるものでなければならない。既存の経営基盤に取り込まれていない個別の業務やシステムを放置したままにすることは、今後の成長ビジネスや新規ビジネスにとって重要なデータ源泉の一端を放置することに等しい。これではデータ利活用ができず、機会損失につながる可能性が高い。

 これまで放置された個別の業務やシステムを取り込んだ新たな経営基盤を、本稿では「デジタル経営基盤」と呼ぶことにする(図1)。

図1  変わる経営基盤の位置付け
図1 変わる経営基盤の位置付け
(出所:アビームコンサルティング)
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デジタル経営基盤の実現の肝

 多くの企業が、従来の経営基盤を新しいデジタル経営基盤へ変革しようとしている。しかし、「個別の業務やシステムを取り込めない」「従来通りの形で取り込みはしたが、データ活用に時間がかかる」といった問題に直面していないだろうか。規模は大きいが決まった業務やシステムだけを対象とする従来の経営基盤の概念を引きずっていては、成功はおぼつかない。成長ビジネスや新規ビジネスを取り巻く環境はめまぐるしく変わるため、機敏で変化に強い経営基盤にする必要がある。

 本稿では、こうしたデジタル経営基盤の実現の肝となる「徹底的な標準化と、競争優位性の確保」「業務部門におけるデジタル人材育成」の実現ポイントを紹介する。

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