2020年は新型コロナウイルスの影響で、一部のユーザー企業でIT投資を抑制する動きがあった。データセンター(DC)市場においても、コロケーションやホスティングといったDCサービスの導入などを先送りする傾向が一部で見られた。調査会社のIDC Japanによると、2020年におけるDCサービス市場の前年比成長率は2.9%と低水準にとどまる。

 しかしその一方で、外出自粛の影響によって企業活動がオンラインになり、クラウドサービスなどの需要が増加している。こうしたオンラインサービスでDCの需要が高まり、2021年の前年比成長率は8.1%に上昇する見込みという。

 DCサービス市場はその後も高い成長率を維持し、2024年の市場規模は2019年比で約1.5倍の2兆1828億円となる見通しだ。

 市場の成長をけん引するのが、IaaS用のコロケーションなどクラウド向けのDCサービス(クラウド系サービス)だ。IDC Japanによるとクラウド系サービスの売上額は、オンプレミスの企業システム向けなど従来型のサービス(非クラウド系サービス)を2021年に逆転して2024年には1兆4000億円を超えるという。

データセンターサービスの国内市場規模予測
データセンターサービスの国内市場規模予測
(出所:IDC Japan)
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 ただし、非クラウド系の市場も急減するわけではない。今後も底堅い需要が見込まれている。1990年代から2000年代初頭にかけて建てられた自前のDCからの乗り換え需要があるからだ。

 こうした古い施設は、ラックの電力容量や床の耐荷重、空調設備、耐震性能などが現在の要求仕様を満たさないので、維持が難しくなっている。このためユーザー企業やシステムインテグレーターなどの多くが、自前施設の廃止や集約へと動いている。DC事業者の施設がその受け皿として堅調な需要を維持するとみられる。

 日本におけるDCの電力使用は、現状でも世界有数の規模である。不動産サービス会社の米Cushman&Wakefieldによると、2020年における東京の電力使用量は米国の北バージニアに次ぐ世界2位の約735MWに達する。

2020年における都市・地域別でのデータセンターの電力使用状況
2020年における都市・地域別でのデータセンターの電力使用状況
(出所:米Cushman&Wakefield)
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 大阪も23位の約125MWだ。日本はまとまった土地が少なく、電気料金などのコスト面でも有利とはいえない。それでも需要が大きいのは「地政学的な要因もある」(あるDC事業者)との声もある。北米と東アジアを結ぶ通信ネットワークのハブとして、日本には多くの海底ケーブルが集まっている。このため、データの中継地点としても多くのDCが必要との見方だ。

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