日本国内では2020年3月に第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスが開始された。2021年現在、その次の世代となる「第6世代移動通信システム(6G)」への関心が世界中で高まっている。そこでこの特集では、6Gに至るまでの移動通信システムの進化、6Gの標準化スケジュール、要求条件やユースケース、要素技術を詳しく解説する。

 無線通信の高速化に最も効果的な手段は、周波数帯域の拡大である。6Gでは、これまで未開拓だった高い周波数帯域が検討されている。

 5Gの無線通信規格である「NR」では、52.6GHzまでの「ミリ波」の周波数帯が新たにサポートされる予定。今後は5G evolutionでの利用を念頭に90GHz程度までの拡張が検討されている。

5Gおよび6Gが利用する周波数帯
5Gおよび6Gが利用する周波数帯
NTTドコモの資料に基づき作成
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 さらに6Gに向けては、高周波数帯の研究開発への期待が高まっている。例えば米国の連邦通信委員会(FCC)は、95G~3THzといった「テラヘルツ波」と呼ばれる周波数帯の電波を6G向けに検討するよう世界に先駆けて推奨している。

 国内でも、特定実験試験局に使用できる周波数帯として92G~100GHz(帯域幅8GHz)、152G~164GHz(帯域幅12GHz)、287.5G~312.5GHz(帯域幅25GHz)が追加された。6Gに向けては、90G~300GHzの範囲が主な検討対象として考えられている。この周波数帯の電波は「サブテラヘルツ波」とも呼ばれる。

 サブテラヘルツ波のような高周波数帯では、5Gのミリ波に比較して10倍以上広い周波数帯域幅を利用できるとみられる。例えば、数百MHzの帯域幅を利用する5Gのミリ波では10Gビット/秒を超える程度だが、数GHzの帯域幅を使う6Gのサブテラヘルツ波では100Gビット/秒を超える通信速度を期待できる。

低周波数帯やミリ波帯も発展

 5Gでは、ミリ波だけではなく、4Gよりも少し高めの「Sub6」と呼ばれる周波数帯(3.7G/4.5GHz帯)も利用されている。Sub6は、ミリ波ほど広い帯域幅は利用できないものの4Gよりは広い帯域幅が利用できる。加えてミリ波よりも電波が飛びやすいため広いエリアをカバーできる重要な周波数帯である。

 これと同様に6Gにおいても、サブテラヘルツ波に加えて、低い周波数帯やミリ波帯を組み合わせて用いることが重要になる。そのためには、5Gの既存周波数帯を6Gで利用するための技術が必要となる。また、Sub6が4Gよりも少し高い周波数帯であったように、Sub6よりも少し高い周波数帯の開拓も目指すべきである。いずれも今後の課題といえるだろう。

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