新人が育たない。OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)がうまく進まない――。
こんな悩みを聞くことが増えています。新入社員に対する企業の取り組みは手厚くなっており、人材育成だけでなく離職予防も意識して丁寧なサポートがなされています。以前のように新人を放っておくケースは少なくなったはずです。
それなのに、指導役(トレーナー)の苦悩は深くなっているようです。人事担当に「なぜこんな社員を採用したのか、ほかにもっといい人材がいるのではないのか」とダメ出しをする人もいます。
なぜ新人が育たないのか。トレーナーの教え方が悪いのかもしれませんし、新人にやる気がなかったり物覚えが悪かったりするのかもしれません。しかしそれ以前に着目したい点があります。「新人は自社の業界や商品に関心があるか」ということです。
まずクルマ好きになってもらう
以下に、人材育成のステップをまとめました。これを見て分かるように、本格的に指導が始まるのは2つ目のステップからです。しかし今重要性が増しているのは、1つ目のステップではないかと筆者は考えています。
例えば自動車業界。新人が「クルマにあまり乗らない」どころか、「クルマに関心がない」「クルマを持っていない」というのも普通です。「運転免許を取得していない」という新人も珍しくなくなってきました。企業によっては、入社までに運転免許取得を求めているところもあります。
現在の40代以上が新卒の頃は、「クルマが好きだから自動車会社に入社する」のが一般的でした。この世代が管理職やトレーナーとして新人と接すると、クルマへの関心の薄さに驚くようです。