コロナ禍で一気に導入が加速したテレワーク。それ以前も「働き方改革」の方法の1つとされてきましたが、普及は停滞気味でした。それがこの1年半ほどで、企業の働き方として定着しています。

 「必要性が感じられれば普及する」ということなのでしょう。多様な働き方を可能にする方法が増えているのはとても良いことだと思います。

 しかし、実際に働いている社員や管理職にとっては、対面での勤務に比べて面倒なことも増えているようです。テレワークによって“通勤苦”が軽減された一方で、“在宅苦”という新たな困りごとも出てきたと聞きます。

 今回は、マツヤ課長という架空の人物とその部下の様子を通じて、よくあるオンライン会議の光景をのぞいてみましょう。

画面を使って自己主張する上司

 中堅ITベンダーでビジネスソリューション課を率いるマツヤ課長。コロナ禍以前からテレワークの導入を主張していました。今回、会社が全面的にテレワークを導入したことは大歓迎しています。

 「せっかくの機会だから、オンラインツールを使いこなしてこれまで以上に上手に部下をマネジメントしよう」と決意したマツヤ課長。10人の部下それぞれと1対1で会話する「1on1」ミーティングを始めることにしました。

 物理的には離れた場所にいるけれど、この場を生かして部下との距離を縮めたい。そのためにマツヤ課長が思いついたのは、「自宅という環境をうまく使う」こと。会社では見られない自分の意外な一面に興味を持ってもらえば、部下ともっと仲良くなれるのではないかと考えたのです。

 そこでマツヤ課長は、おもむろに自分の部屋の掃除を始めました。きれいになった部屋には、自分の趣味のグッズを配置。カメラ写りを入念に確認しながら、これでもかというほど部屋をコーディネートしました。

 さらに家族にも協力を依頼しました。海外ニュースに自宅から出演していた専門家の部屋に幼い子どもが入ってきた映像にとても好感を覚え、「会議の最後に自分の子どもを登場させたら部下も親近感を持ってくれるのでは」と思ったからです。

 そしてついに、待ちに待った1on1ミーティングが始まりました。部下が画面越しに対面したマツヤ課長の後ろには、ゴルフバッグに楽器、家族の写真などがずらりと並んでいます。最後には、幼い子どもも画面に登場しました。

 部下は会議中、それらに「興味を持って」ではなく「気が散って」、会話に集中できません。課長の趣味や子どもについて話を振るべきなのかと、そればかり気になってしまう部下もいました。また別の部下は、過去に会社のゴルフで嫌な思いをしていました。1on1でこれ見よがしに置かれた課長のゴルフバッグを目にして、その思いがよみがえります。

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