日経NETWORKでは企業ネットワークの利用実態を調べるアンケート調査を毎年実施し、利用しているネットワーク機器のベンダーなどを尋ねている。2021年は9月から10月にかけて実施した。有効回答数は943件。その調査結果をまとめたのが本特集である。
記事では、スイッチ、無線LAN機器、ルーター/UTMの3部門のそれぞれでベンダーのシェアをまとめた。インターネットと社内ネットワークの境界に置くネットワーク機器として、主にルーターやUTM/ファイアウオールがある。ここではルーター/UTM部門の結果を見ていこう。
シスコがヤマハを僅差で抜く
ルーターベンダーでは根強い人気を得ていたヤマハがついに2位に陥落した。代わりに1位となったのはシスコシステムズでシェアは26.4%。ヤマハは25.2%で僅差だった。シェアが3%以上となった製品では1~6位まで前回と同じ顔ぶれとなった。
企業規模別で見ると、ヤマハは21~500台の規模で首位を獲得。シスコシステムズは501台以上の規模で1位だった。ここでもシスコシステムズが大企業に強いという結果になっている。
2割強は境界防御製品を未導入
アンケートでは境界防御のために設置しているセキュリティー製品についても尋ねた。「UTMまたは次世代ファイアウオール」を導入しているという回答が最も多く53.5%。過半に達するという結果だった。前回は42.9%だったため、10ポイント以上増えたことになる。
次は31.2%で「Webゲートウエイ」だった。これはWebアクセス時にマルウエア(ウイルス)や不正攻撃を検知するプロキシーなどが含まれる。仮想環境を利用して不正なプログラムかどうかを安全に検査するサンドボックス型製品を導入しているのは6.2%にとどまった。なお24.3%は境界防御のためのセキュリティー機器を導入していないと回答した。前回の20.3%より増えるという結果となった。
では境界防御製品を導入している企業はどんなベンダーの製品を使っているのか。UTM/ファイアウオールベンダーの順位は米フォーティネットが前回に続き首位を維持した。そのシェアは38.2%である。ただ前回よりも若干ポイントを減らした。
一方、大きくシェアを伸ばしたのはシスコシステムズである。前回は7.1%だったが、今回は13.7%と6.6ポイント上昇した。企業規模別に見ると、1~1000台以下のクライアントを接続している企業ではフォーティネットが1位だった。ただし1001台以上では、僅差ながら米パロアルトネットワークスがフォーティネットを上回るという結果が得られた。