世界有数のデジタル戦略企業への進化をリードする。どうせなら、世界一を目指そう――。力強いメッセージを発するのは、三井物産でデジタル総合戦略部長を務める真野雄司執行役員だ。同氏は2022年3月16日、日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボが開催した「ITイノベーターズ会議」の基調講演に登壇し、三井物産のDX(デジタルトランスフォーメーション)や働き方改革の取り組みを披露した。

三井物産の真野雄司執行役員
三井物産の真野雄司執行役員
(撮影:井上 裕康)
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 三井物産は新たな事業を生み出し具現化すべく、さまざまな切り口でDXを推し進めてきた。温暖化ガス排出量の実質ゼロを目指す「カーボンニュートラル」関連事業の創出と大規模展開への挑戦がその一例だ。

 国はカーボンニュートラルを推進するため、温暖化ガスの排出削減量や二酸化炭素の吸収量に応じてクレジットを発行し、それを取引できるようにする「J-クレジット」と呼ぶ制度を整備している。他方、三井物産は国内4位の森林保有企業として知る人ぞ知る存在だ。保有林を生かしてクレジットの供給量を増やせれば、森林から新しい付加価値を生んで持続可能な森林経営の基盤を確立することはもちろん、カーボンニュートラルの達成に大きく貢献できる。

 ところが従来、森林の二酸化炭素の吸収量は、人が森に入って実際に測量したものしか認められなかったという。広大な森林の隅々まで人手で実測するのは事実上不可能なため、自社保有林の二酸化炭素吸収量に見合うクジレットを獲得することは難しかった。

 そこで三井物産は、J-クレジット制度で最近になって認められたデジタル技術による航空測量を早速採用。リモートセンシングによって上空から森林の状況を詳しく把握し、クレジット創出の最大化を図っている。

「PoC祭り」で終わらせない三井物産版“デジタル庁”

 三井物産はほかにも、船舶運航の最適化による燃料費効率化や船舶からの温暖化ガスの削減、大規模な医療データの活用・事業化など、多面的にDXを推進している。こうした多様なDXを支えるのが、真野氏が率いる総勢約200人の「デジタル総合戦略部」である。事業部ごとにかつて存在していたIT組織や経営企画部内にあったDX推進組織、全社のIT化を担うIT推進部などを統合して誕生した。

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