「熟練工の持つ技術こそが我が社の強み」。こう自負している企業は、その技術をいかに伝承していくかに頭を悩ませていることだろう。辞めるベテランの技術を若手が引き継げなければ、生産性は一気に落ちてしまう。

 下記の資料の紹介文では技術伝承の対処方法としてある調査結果を挙げ「7割が『高年齢従業員の継続勤務』、5割が『継承すべき技術の見える化』と回答している」とする。企業は、「高齢の熟練技術者にはできるだけ長く勤務してもらい、その間に技術のテキスト化やマニュアル化、IT化に取り組もうとしている」。

 ところが、テキスト化やマニュアル化はそう簡単でもない。

 「ノウハウは企業機密の塊であり、社内でも文書などの漏洩の恐れがある形では配布していない」。そうしたスタンスで知識や技術を受け継いでいるガラス製造大手のAGCでは、「匠(たくみ)」であるベテラン技術者に対して、若手がメールで質問することで知識不足を補っていた。

 ところが「毎年新入社員が同じような質問を頻繁に匠に寄せてくる。匠は回答することに負担を感じていた」。質問する側も悩みを抱えていた。年次が離れた匠に対して「どのようにメールを打ったら失礼がないかなど悩み考える時間が生産性の低下につながっていた」という。

 AGCはこの問題をどう解決したかは以下の記事にまとまっている。

 ベテラン社員の引退時に、主要な技術は伝えられても細かなテクニックまで伝えきる余裕はなかったとするテック長沢は、AGCとは異なるアプローチで技術伝承に取り組んだ。

 技術伝承については、別の見方もある。「熟練工のやり方が最適かどうかは分かりません。工程全体をデータで分析すれば、より良いやり方が見つかるかもしれない」(電力会社JERA)。この改革手法を全ての業態に適用できるわけではないが、考え方は参考になる。