質量エネルギー密度450Wh/kg級電池の実証および電池長寿命化の要素技術開発に成功

 ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)と米国Enpower Greentech Inc.(以下「Enpower Greentech」)は、IoT機器や携帯電話基地局などでの活用を想定した、質量エネルギー密度(Wh/kg)が高く、軽くて容量が大きい次世代電池を見据えた材料技術の共同研究を行う契約を2020年3月に締結し、4月から共同で研究開発を行ってきました。このたび、質量エネルギー密度450Wh/kg級電池の実証に成功しました。また、リチウム金属電池の長寿命化の要素技術の開発についても成功しましたのでお知らせします。今回開発した要素技術には、リチウム金属表面にデンドライト(※1)の発生を抑制する極薄(10nm以下)コーティング膜技術や、高い電池電圧と高いクーロン効率(充放電効率)(※2)を両立した電解液などがあります。

 質量エネルギー密度450Wh/kg級電池に使用されているリチウム金属負極は、長年究極の負極材料として注目されてきましたが、充放電に伴うデンドライトの発生によって、短期間で電池の容量が減少するという課題がありました。ソフトバンクとEnpower Greentechは、デンドライトの発生抑制技術の一つである「リチウム金属表面の無機コーティング技術」に注目し、リチウム金属表面を違う材料でコーティングすることで電解液との直接接触を遮断して、安定した固体電解質界面(SEI)膜(※3)を形成するというアプローチを実施しました。今回、無機物を極薄(10nm以下)でコーティングしたリチウム金属電極を用いて、コイン型リチウム対称セル(ラボ測定用電池)で連続500時間経過しても、非常に低い過電圧を維持し続けている充放電データを得ることができました。今後、この技術を450Wh/kg級電池に適用して、電池のさらなる長寿命化を目指します。実験データなどの詳細は、別紙をご覧ください。

 Enpower Greentechは、全固体電池を含む次世代電池の研究開発と事業化に取り組んでいる米国のスタートアップ企業で、日本にも研究拠点(Enpower Japan株式会社)があります。Enpower Greentechは、2015年から高容量電極材料や固体電解質材料などの材料技術開発に着手しています。さらに2017年10月からは、米国テキサス大学オースティン校教授であり、ノーベル化学賞を受賞したジョン・グッドイナフ教授の研究グループと全固体電池用材料技術の共同研究を行っています。今回の共同研究の成果に関して、グッドイナフ教授から次のようなコメントを頂きました。

■グッドイナフ教授からのコメント

 Enpower GreentechとソフトバンクによるSDGs(持続可能な開発目標)に向けたバッテリーの先端技術、アプリケーション開発に関する素晴らしい成果をうれしく思います。私の研究チームが、基礎材料科学の観点からこの意義のある取り組みに貢献できることを光栄に思います。Enpower Greentechとソフトバンクの皆さまの成功を願っています。

 ソフトバンクは現在、情報格差の是正や災害時の通信確保、CO2排出量の削減に向けて、さまざまな取り組みを行っています。これらの取り組みを実現するためには、長期間にわたってさまざまな技術やデバイスを支える高性能な電池が必要不可欠であると考えています。今回、ソフトバンクとEnpower Greentechが共同で開発に成功した材料技術を用いることで達成が期待できる質量エネルギー密度450Wh/kg級電池は、現在実用化されているリチウムイオン電池に比べ、質量エネルギー密度が約2倍となります。この電池は、さまざまなIoT機器や携帯電話基地局だけでなく、ソフトバンクの子会社であるHAPSモバイル株式会社が地上約20キロメートルの成層圏で飛行させる、ソーラーパネルを搭載した成層圏通信プラットフォーム(HAPS)向け無人航空機「Sunglider」への装用による長時間駆動が期待できます。

 ソフトバンクとEnpower Greentechは、テクノロジーを生かした事業活動による社会課題の解決を目指し、次世代電池の高容量化に向けてさまざまな研究開発を今後も続けていきます。

[注]

 ※1 デンドライト:電池の充放電を繰り返した際に生じるリチウム金属の針状結晶。デンドライトが成長し続けると、正極と負極の短絡を引き起こし、発火などの原因となる。

 ※2 クーロン効率(充放電効率):充電時の充電容量に対する放電時の放電容量の比。クーロン効率(充放電効率)が高いほど充電容量を無駄なく放電に使用できるので、寿命が長い電池となる。

 ※3 固体電解質界面(SEI)膜:リチウムイオン二次電池(LIB)またはリチウム金属二次電池中の負極と電解液の界面で主に充電時に形成されるリチウムイオン伝導性を持つ被膜である。

○開発した要素技術を用いた電池の試作品

 *添付の関連資料を参照

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 *別紙は添付の関連資料を参照

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

開発した要素技術を用いた電池の試作品

https://release.nikkei.co.jp/attach/606606/01_202103151141.JPG

別紙

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