冷媒循環プラットフォームの実証実験をダイキン工業と開始

資源循環社会の実現に向けて、冷媒のトレーサビリティー・システムの実用化

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、「日本IBM」)は、ダイキン工業株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:十河政則、以下「ダイキン工業」)と、資源循環社会の実現に向けた冷媒循環のデジタル・プラットフォームの構築に向けて開発したプロトタイプを用いた実証実験を開始します。

 既に設置されているダイキン工業の空調機器の入替、メンテナンスにおいて回収される冷媒の再生の取り組みから開始し、再生冷媒を試験的に流通させ、日本IBMのブロックチェーン技術を用いて開発した冷媒の製造・使用から回収・再生におよぶ循環サイクル全体の情報を収集・管理するデジタル・プラットフォーム上で実施します。これにより、使用されている冷媒量や来歴、品質の透明性を担保することで、ユーザーの安心感を醸成し、再生冷媒の市場流通の促進を目指します。さらに、冷媒漏えい防止・排出抑制における社会課題であったライフサイクルでの数量管理の仕組みを構築します。

 さらに、本デジタル・プラットフォームをオープンなプラットフォームとして公開し、冷媒の漏えい抑制、回収・再生率向上に貢献することで、資源循環社会の実現を目指していきます。

 空調機器の室内機と室外機の間で熱を運ぶために使用されている冷媒のうち、多くの先進国で使われている主力冷媒であるHFC(ハイドロフルオロカーボン類)は、オゾン層破壊係数はゼロですが、大気に排出されると地球温暖化に影響します。そのため、「モントリオール議定書(※1)」に基づいて空調機器に使用されるHFC冷媒の生産・消費量の段階的な削減が世界的に進められています。また、国内において「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」(以下フロン排出抑制法)による空調機器の使用、廃棄時における冷媒の漏えい防止・回収義務が強化されていますが、国内における冷媒使用機器の廃棄時の冷媒回収率は、2020年時点で41%に留まっており(※2)、冷媒のライフサイクル全般での漏えい対策が急務となっています。また、HFC冷媒の生産・消費量の段階的な削減に伴い、既にビルなどの建物に設置されている空調機器の保守・メンテナンスに必要な冷媒の供給不足が想定される中、品質基準を満たした再生冷媒の流通情報や品質を管理し安心して使用できる仕組みがないため、空調機器の廃棄時等に回収された多くの冷媒は破壊処理されています。

 この度、ダイキン工業と開発する冷媒循環プラットフォームにより、ブロックチェーンを活用した再生冷媒のリサイクル証明、リサイクルチェーンの可視化により来歴の透明性を担保し、ユーザーの安心感を醸成し、再生冷媒の市場流通を促進します。また、ダイキン工業のフロン抑制法の点検管理ソフト、および現在開発中の冷媒充填・回収業者向けソフトとのシステム連携により、フロン排出抑制法にも対応し、冷媒漏洩防止、冷媒回収率の向上を目指します。

 日本IBMは、製造業の業務の理解やデータ分析の知見に加え、社会課題解決と企業成長を両立させるサステナビリティー戦略立案から実装までのケイパビリティーを有しています。また、ブロックチェーン・プラットフォームにおける実績と、ブロックチェーンを活用したサプライチェーンの来歴管理を支援するグローバル業界プラットフォームIBM Blockchain Transparent Supplyも活用し、冷媒のリサイクルとトレーサビリティーにおけるニーズと課題を検証し、実証実験計画をダイキン工業と共創し策定、プロトタイプを開発し、サーキュラー・エコノミー実現に向けた取り組みを支援しています。実証実験でのサービスの効果や実現性、データの取得やビジネスモデルを検証し、この後の本番開発に向けて、要件を整理し、ダイキン工業と連携しながら進めていきます。

 ※1 1987年、オゾン層を破壊するおそれのある物質を特定し,当該物質の生産,消費及び貿易を規制して人の健康及び環境を保護することを目的として採択された「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」。

 ※2 平成25年改正フロン排出抑制法の施行状況の評価・検討に関する報告書(案) (産業構造審議会製造産業分科会化学物質政策小委員会、フロン類等対策WG、中央環境審議会地球環境部会、フロン類等対策小委員会) https://www.env.go.jp/council/06earth/furon12/mat004.pdf

 *参考資料は添付の関連資料を参照

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添付リリース

https://release.nikkei.co.jp/attach/635035/01_202206231225.pdf