流通BMSの普及が流通業界における喫緊の課題に

企業間取引におけるEDIは、1980年にJCA手順が制定されたのち、1980年代にPSTN網を利用したEOS(Electric Ordering System)として急拡大した。現在、PSTN網を利用したEDIは「レガシーEDI」と呼ばれ、主流ではなくなっているが、まだ利用している企業は多く、それらの企業は代替となる通信手段の検討を余儀なくされている。昨今のEDIを取り巻く環境、そしてこれからあるべきEDIシステムとはどのようなものなのか。先ごろ行われた「ユーザックシステム ソリューションフェア 2020」から、3人のキーパーソンが語り合ったパネルディスカッションの模様を紹介する。

大槻:メーカー側代表としてヤクルト本社の西山様、卸代表として花王グループカスタマーマーケティングの川口様に参加いただきます。お二人とも数多くの取引先EDIの対応に取り組んでこられているほか、川口様は流通BMSに関する業界団体で、各社の対応を促す活動を展開されてきました。

 もともと流通BMSは、メーカー、卸、小売りなど、立場が異なる流通事業者間で利用できるEDIの標準仕様として策定されたものです。これに対応することで、発注から出荷、受領、検品、請求などのデータを、互いに高速かつ低コストで交換することが可能です。また、約40年前に策定されたJCA手順で課題となっている「通信速度の遅さ」「送信不可能なデータ形式の存在」といった課題も解消できます。まずは各社の流通BMS導入状況を教えてください。

西山:ヤクルト本社が精算している取引先における流通BMSの導入数は、精算開始以来、順調に増加しています。ただ、全体における流通BMSの割合は2020年2月現在で43%と、まだ半数に達していない状況です。

川口:花王も同様の調査を行っています。ここ数年、軽減税率を背景として対応が加速しましたが、全体における割合はようやく半分に届いたところ。JCA手順をはじめとするレガシー方式の企業がまだ4割以上あります。

 2024年に控えるISDNサービスの終了予定や、今後の法改正予定などを踏まえると、これから数年が正念場といえます。ここで対応企業が大幅に増えない限り、オンライン商取引の通信時間が現在の数倍になってビジネスが滞るなど、様々な問題に直面することになるでしょう(図1)。

図1●ヤクルト、花王両社の取引先における流通BMS導入比率
[画像のクリックで拡大表示]
両社とも約半数の取引先がレガシーな方式、または固有のWeb-EDIの仕組みを利用しており、標準化には至っていない
左から、ユーザックシステムの大槻 勝弥氏、ヤクルトの西山 直希氏、花王グループカスタマーマーケティングの川口 和海氏

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。