現場と乖離したAI活用は“絵に描いた餅”になる

 あらゆる産業においてデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の取り組みが進められている。そのDX戦略で欠かせないテクノロジーがAIである。IoTやモバイルなどデジタル技術の進展に伴い、AIを学習させるためのデータも集めやすくなっている。「既存業務を変革し、コア事業の拡大を図る」「潜在的なニーズを発掘し、新しい顧客体験で競争優位を獲得する」など、「データ×AI」の可能性は無限大だ。

 しかし、AIは魔法の杖ではなく、AIを導入しただけで何でも解決してくれるわけではない。目的とゴールをしっかり定めて取り組むことが重要である。しかし、これがなかなか難しい。大きな阻害要因になるのが、業務現場とデータサイエンティストの間に横たわる“ギャップ”だ。

 一般にAIを使いこなせるのは、一部のデータサイエンティストに限られる。分析のためのプログラミングやモデリング、チューニングなど高度なエンジニアリング作業が必要になるからだ。そのデータサイエンティストがいくら精度の高い予測モデルを作っても、それが現場で使われるとは限らない。現場には現場のやり方があるからだ。現場のニーズを捉え、使いやすく、なおかつ効果を実感できるものでなくてはならない。

 昨今はデータサイエンティストの需要が高まり続け、その確保も育成も非常に困難だ。貴重な人材が現場との軋轢に労力を割かれるのは得策ではない。事業戦略など、より高度な分析作業でその力を発揮すべきだ。現場とデータサイエンティストの間の“ギャップ”をなくし、AI活用を推進するためには、業務部門のビジネスパーソンも「データ×AI」の活動に参加する、すなわち「AIの民主化」が不可欠である。

 これによって業務の課題解決に直結するデータとAIの活用が進む。より速く、深い洞察を得て、競争を優位に進めていける。ではDX時代に欠かせない「AIの民主化」を実現するにはどうすべきか。次ページ以降で具体的なアプローチを紹介する。

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