適切な環境整備がデータ活用推進の前提になる

 製造現場のデジタル活用が急務になって久しい。「Industry 4.0」の潮流を例に挙げるまでもなく、製造プロセスをデジタル技術、特に「データ」の活用によって変革することが、グローバル競争力を獲得する上で不可欠になっている。例えば、IoTで工場設備の稼働状況を可視化したり、生産物の状態に関する情報の収集・分析を行ったりするスマートファクトリー化の取り組みはその一例といえるだろう。

 ただ、ここで考えておきたいことがある。IoT、AIなどの技術の検証・導入に着手している国内製造業は少なくないが、一方で、それをビジネス成果につなげている企業は、残念ながら少数派だということである。導入してはみたものの、価値を生むための方法が分からず、“宝の持ち腐れ”に終わっている企業は多いのだ。

 この状況に陥らないようにするにはどうすればよいのか。提案したいのが、一足飛びにIoTやAIのような先進技術の検証に取り組むのではなく、まずは土台となる社内環境を見つめ直すことである。既に社内には無数のデータファイルが存在している。まずはこれらを「整理」し「可視化」することで、高度なデータ活用に向けた体制を整えるのだ。

 例えばファイルサーバー。拠点・工場ごとに複数のシステムを設置し、利用している企業は多い。確かにファイルサーバーは、日報や在庫管理表、工程チェックリストなどのドキュメントを保存・共有する上で不可欠なインフラである。しかし、無計画にファイルを放り込んできた結果、「どこにどのファイルがあるか」「最新ファイルがどれか」が判別不能になっているケースは多い。これでは、データ活用どころではない。

 また、仮にファイルサーバー内は整理・管理されていたとしても、現場作業者が求める情報に速やかにアクセスできる環境は整っているだろうか。これについて、ホワイトカラーの従業員は、週に約9時間を「情報の検索」に費やしているという調査もある。こうした問題をクリアにしておくことも、高度なデータ活用に向けて重要なことといえる。

 実は、この環境は「3つのステップ」で実現できる。製造業がデータ活用で成果を上げるために必要な土台作りの方法について、次ページ以降で見ていこう。

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