事例に学ぶ、円滑な「2025年の崖」脱出に向けたアプローチ

 SAPシステム「SAP ERP(ECC 6.0)」のサポート終了は、多くの日本企業が直面する課題である。企業は、後継である「SAP S/4HANA」(以下、S/4HANA)へ移行するか、SAPの利用を断念するかを選ばなければならない。とはいえ、これまで蓄積してきた情報資産を簡単に捨て去ることはできないだろう。

 注目されているのがパブリッククラウドの活用である。まずはSAP ERPをクラウドに移し、その後にS/4HANA、あるいはそのほかのシステムへ移行を図る手法が一般的ではないだろうか。

 この手法には多くのメリットがある。例えば、S/4HANAに移行する際のハードウエア投資を抑制できる。これまで定期的に発生していたハードウエアの更改も不要になり、インフラ運用の工数削減につなげられる。さらに、クラウドであれば業務量の変動に合わせたリソースの調達も行える。パブリッククラウドが提供する様々な機能を活用したり、それらを基幹系システムと連携させたりすることも容易になる。

 もちろん、長年オンプレミスで運用してきたSAPシステムのクラウド化は、決して簡単ではない。ビジネスの根幹を担うシステムのインフラを移し替えるのだから、それは当然のことだ。だが、ここへきてこれを成功させる日本企業が続々登場している。その一社が、精密機器メーカーのニコンである。

 特筆すべきは、同社が財務会計(FI)、管理会計(CO)、人事管理(HR)、販売管理(SD)、購買/在庫管理(MM)、生産計画/管理(PP)まで、ほぼすべての既存SAPシステムをクラウドに移行したこと、かつそれを「内製」で成し遂げた点である。

 現在同社は、次のステップである次期基幹システムの検討に進んでいる。関係者のコメントを交えながら、プロジェクトの軌跡をたどっていく。

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