「消費者起点」への転換を阻むレガシーシステム
長く日本企業の業務を支えてきたレガシーシステム。クラウドをはじめとする新技術が続々登場し、当たり前のように使われるようになった今日でも、基幹業務に欠かせないものとして多くの企業が利用している。
一方、長年の利用を経て複雑化・ブラックボックス化した基幹系システムは、新たなビジネス価値創出の足かせになっている。ビジネス環境の変更に合わせたカスタマイズや新規システムとの連携が困難なため、ビジネススピードを低下させる要因になる。またエンジニア人材の減少も問題だ。レガシーシステムで多く使われているCOBOLなどの言語は今後、扱える人材が減っていくため、維持・運用が難しくなることは間違いないからだ。
とはいえ、ビジネスの根幹を担うシステムを置き換えるのは簡単ではない。特にヒト・モノ・カネの制約があるなか、課題解決の方法を探りあぐねている中堅・中小企業は少なくない。
このような状況のもと、既存のメインフレームとクラウドを併用しながら、課題解決に挑んでいる企業がある。「お菓子の総合商社」、コンフェックスだ。同社は創業約120年の歴史を持つ老舗企業。「人と、おかしと、笑顔と、未来。」をコーポレートミッションに、お菓子の卸・流通事業を展開している。
同社は、目まぐるしく変化する市場ニーズをとらえるため、ビジネスの発想を「販売者視点」から「購買者・消費者起点」へ転換しようとしている。それには地域、顧客層などのデータを縦横に利活用しながら、取引先との連携による提案型営業を実現することが必要であり、レガシーな基幹系システムを脱却することが不可欠だった。
今回は、同社の取り組みを基に、中堅企業のレガシー脱却のポイントを考えてみよう。