コロナ禍であぶり出された開発体制の弱点

 新型コロナウイルスの感染拡大は様々な企業活動に影響を及ぼした。アプリケーション開発も例外ではない。緊急事態宣言の発令に伴い開発者も出社できなくなり、多くのプロジェクトが停滞してしまった。

 なかでも深刻な危機に直面した業界の1つが金融機関である。厳しいセキュリティーが課せられた金融機関のアプリケーション開発プロジェクトは、情報システム部門の社員はもとより外部の開発パートナーのメンバーも含めて同じオフィスに集まり、オンサイトで行われるケースがほとんどだったからだ。

 とはいえ、いつまでもアプリケーション開発をストップしているわけにはいかない。金融機関は自らが経済の血脈を担う社会インフラであり、新たな金融政策や制度変更に迅速に対応しなければならない責務を負っている。例えばコロナ対策として打ち出された緊急融資制度などへの対応が滞れば、社会に大きな混乱を引き起こしてしまう。

 そこで緊急避難的なBCPとして行ったのが、特に優先度の高いアプリケーションを担当している開発メンバーに在宅作業用のPCを整備し、必要と認められたファイルだけをメールなどで授受してリモートで開発を続行するという方法である。

 ただし、当然のことながらこうした付け焼き刃的なリモート開発の体制では従来のオンサイト開発と同等の生産性を確保することはできない。どんなに頑張っても業務のリカバリー率は10~20%程度といったところだ。

日本アイ・ビー・エム株式会社
Integrated Account CTO
エグゼクティブ・アーキテクト
藤田一郎氏

 そして、本当の意味での対策が問われるのはこれからだ。日本IBM Integrated Account CTOの藤田一郎氏は、「緊急事態宣言が解除された現在、徐々にオフィス勤務も回復しつつありますが、再び従来のオンサイト開発に戻ろうとする企業と、ポスト・コロナ時代のニューノーマルに対応したリモート開発を志向する企業の間には、今後ますます大きな格差が生じることになるでしょう」と警鐘を鳴らす。

 そうしたなかでIBMは今、金融機関をはじめとする主要顧客と協業し、“ITサービスのデジタル変革”というコンセプトのもと、リモートを前提とした、より柔軟な開発スタイルへの移行を進めているという。

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