資料の紹介
半導体の解析などに使われる走査電子顕微鏡(SEM)は、光学顕微鏡では見ることができない、より微細なものを観察できる。光の波長より短い電子線を利用することで実現している。真空中で試料に電子線を入射し、その際に発生した二次電子や照射した電子の反射を検出することで観察対象を画像化する。
SEMの欠点として、試料の深くくぼんだ箇所や底面の様子を観察しにくいことが挙げられる。これは、二次電子が物質中であまり長い距離を移動できないことによる。また、観察前に、試料を導電性に優れた金属の薄い膜でコーティングするなどの手間がかかる。高いエネルギーを持つ電子を照射することで発生した熱により試料が損傷したり、帯電した電荷の反発により像がゆがんだりする問題を防ぐ必要があるからだ。
本資料では、SEMの課題を改善し、より詳細な半導体デバイス観察を可能にする最新SEMを紹介する。二次電子、反射電子の検出能力を強化すると同時に、帯電しにくい低真空モードを採用することで、試料のコーティング工程も不要にしたとする。従来は劈開(へきかい)しなければ観察できなかった直径8インチ(200mm)の大きな試料をそのまま観察できる、広い試料ステージを持つタイプも用意したという。