“働き方改革”が叫ばれ、日本においてもワークスタイル変革が注目されている。ワークスタイル変革の本質は、ホワイトカラーの生産性を向上させることである。歴史的にみると、以前は工場でモノを生産することで付加価値が生まれていたが、現在は知識労働者が富を生む時代である。

 米国では、工場労働者から知識労働者へと富の根源が移った際に、ワークスタイルの変革が起こった。1980年代から1990年代にかけて、多数を占める共働き世帯を支援する形で、合理的なワークスタイルを獲得した。2000年代中盤には国もその議論に積極的に加わり、良好なワークライフバランスを様々な労働者に普遍的に展開していった。

 日本においても、IT利活用の先進国を目指すという掛け声の下、ワークスタイル変革が普遍化してきた。その根幹に置いているのは、知識労働者としてのホワイトカラーの生産性向上にある。

 ワークスタイル変革の最大の目的は、残業時間の削減にある。では、いかにして残業時間を削らせるのか。その切り札は、IT(情報技術)である。

 チャットツールや人工知能(AI)やストーリーテリングツールといった“新しいIT”は活用のハードルが高いが、定時退社のためには、これらのITが必要になる。

 「デジタル・デクステリティ(Digital Dexterity)」と呼ぶガートナー用語がある。新しいITを使いこなす能力として、ITへの熟練度の高さを表す言葉である。ワークスタイル変革には、個々の社員のデジタル・デクステリティが重要になる。ITを積極的に活用して労働時間を短縮していかなければならない。

日本のIT活用が進まない理由は、使っているITが古いから

 デジタル・デクステリティはワークスタイル変革にとって重要だが、個々の社員に普及させることは難しい。例えば、クラウド型の最新オフィスソフトである「Office 365」を導入しても、メールと文書共有にしか使ってくれないというケースは多い。SkypeやMicrosoft Teamsのようなチャットベースのコラボレーションツールは使ってくれない。

 ガートナーが2017年4月にグローバルで実施した、ITスキルやIT環境に関するアンケート調査によると、ITスキルに関して日本人の自己評価は他国と比べて低い。日本人の6割はITスキルが低く、新しいITを使っていない。フランスは逆で、全体の6割が新しいITを使っている。

 日本人のデジタル・デクステリティが低い理由の一つは、使っているデバイスとアプリケーションが古いことである(図1)。世代遅れのデバイスとアプリケーションを使っているとの回答が66%を占める。

図1●新しいITを使っているかどうかのアンケート調査結果。日本は他国と比べて作業用デバイスとアプリケーションの世代が古い。日本人の66%は旧世代のITを使っている
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