ITpro Successは2017年2月10日、大阪市北区の梅田クリスタルホールで、「挑戦を加速する、働き方改革 変化をチャンスに変えるITの底力」と題したセミナーを開催した。2016年12月13日の東京での開催に続き2回目だが、同じ講演者はビジネス書作家の戸田覚氏一人だけという、異なる内容のイベントとなった(東京開催の内容はこちら)。

写真1●セミナー会場となった梅田クリスタルホール
撮影:直江 竜也(以下同)
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赤字事業をどのように再編したか

タニタ代表取締役社長の谷田千里氏の講演から

 まず、健康総合企業を目指すタニタ代表取締役社長の谷田千里氏が、「健康をはかる』から『健康をつくる』へ ~『日本を健康に』するタニタのチャレンジ~」と題して基調講演を行った。

写真2●タニタ代表取締役社長の谷田千里氏
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 同氏は、2008年に社長に就任してから、父親から引き継いだ企業をどのように変革していったかについて語った。まず手を付けたのが、赤字を出していた商品や事業の再編。2004年ごろから既にインターネットに接続して、データを送信しパソコンやサーバーで管理できる歩数計や体組成計、血圧計などの製品を作っていた。一方で「からだカルテ」というパソコンで健康関連データを管理するサービスを手掛けていた。

 だが、「父親は先見の明があり過ぎたのか、売れ行きは良くなかった。からだカルテも赤字だった」(谷田氏)という。社長就任時は、いつこの売れない商品をやめるのかと社内から圧力がかかったが、今後はこのビジネスは伸びると判断した谷田氏は、それを跳ね除けて事業を続けた。もちろん、放っておいたのでは赤字が増えるばかりだ。

 そこで谷田氏は、従業員に配って実際に使ってもらった。すると、「USBを介さないとPCにデータを取り込めないのは面倒」など、次々と苦情が上がってきた。こうして社内からの声を反映して、商品を改良していった。

タニタ健康プログラムをスタート

 具体的には、USBを介する方式はやめて、Suicaベース(Felicaチップ入り)の製品に改良し、カードリーダーに置くと自動的にデータが吸い上げられるようにした。生年月日、性別、身長などは設定済みなので、例えば体重計に乗るだけでデータが保存される。こうした改良を繰り返した結果、事業は軌道に乗っていった。

 タニタ健康プログラムは、こうした同社のサービスや機器を活用してもらうべく開始した。やはりまずは同社内で実践。歩数に応じて景色が変わったり、ネットでランキング表示されたりと、楽しめる工夫を施した。「予想もしないような効果があった。これまでは、会議の席で開発サイドが、ちゃんと営業していないのでは、などと不満を漏らすことがあった。しかし、3万歩いているなど数字が出るので、そうした発言はなくなった」(谷田氏)。

 健康プログラムの導入後は、1割近く医療費が減っているという。導入経費を十分賄えているそうだ。今ではタニタ健康プログラムを、企業や自治体に販売しており、埼玉県鶴ヶ島市や東京都板橋区、静岡県三島市などで健康プログラムを導入済みだという。

 このほか、書籍『体脂肪計タニタの社員食堂~500kcalのまんぷく定食~』がベストセラーになり、この内容を実践する目的で「タニタ食堂」事業の展開を始めた。「会社に『どこに行ったら食べられるのか』と一日何十本も問い合わせがあり、とりあえず1店開店した。その後、シェフ育成コースを作って、その卒業者にも出店を許可。現在は全国27店舗になった」と谷田氏は説明。「健康な人を増やすことで 国などの負担を減らし社会に貢献していきたい」と話して、講演を終えた。

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