クラウド型のセキュリティサービスを提供するHENNGE(へんげ、HDEから2019年2月に社名変更)は顧客からの信頼を強固にする狙いから、カスタマーサクセス部門の変革に踏み切った。これにより(1)従来サービスからの収益拡大(アップセル)だけでなく、(2)新サービス投入時の高速立ち上げ(クロスセル)という効果を見込んでいる。顧客の最新状況を可視化して全社的なサポートを実現する狙いから、カスタマーサクセス部門のシステム基盤を強化している。
カスタマーサクセスの仕組みを整える
「マーケティングと営業の現場は、私たちが整備した仕組みで“自走”できるようになりました。これからはカスタマーサクセスの仕組みを整えます」。HENNGEの水谷博明氏(Digital Intelligence Section Customer Success Division Deputy Division Manager)はこう話す。
HENNGEは2018年10月に組織を改変し、カスタマーサクセス部門(Customer Success Division)の強化に乗り出した。その狙いは既存顧客との関係を強化して、強固な信頼関係を結び、顧客に既存サービスの機能追加(アップセル)だけでなく、将来の新サービスの導入(クロスセル)を促すことにある。
HENNGEは、各種クラウドサービスを安全に利用できるようにするセキュリティサービス「HENNGE One(旧HDE One)」を主力としている。顧客の利用に応じて課金する「サブスクリプション」モデルで、通常は顧客の継続率を重視する。
ここで同サービスは、「一度使い始めた企業は、よほどのことがないと解約(チャーン)しない特性があることが見えてきた」(水谷氏)という。そこでカスタマーサクセス部門の役割を、顧客との関係強化を図りつつ次なる収益拡大につなげるものとする方針を打ち出した。HENNGEが現在開発中の新サービスを提供するときに、多くの利用者から信頼を集められていれば、新規事業が素早く立ち上げられるというものだ。
水谷氏は2018年10月までは営業部門でDI(Digital Intelligence)セクションを率い、デジタルの活用による業務改善を主導してきた。マーケティングから営業まで、インサイドセールスを含めた体制整備や仕組みづくりで成果を挙げた実績がある。このDIセクションの7人全員がカスタマーサクセス部門に異動し、同門の基盤強化に当たっている。
カスタマーサクセス組織にチームごと異動した意味
水谷氏は「カスタマーサクセス部門は、それぞれのセクションが縦割りになっていました」と話す。