米国時間の2016年3月21日、「MarTech USA 2016」(URLはhttp://martechconf.com/usa/)が、サンフランシスコで幕を開けた。MarTechはマーケティングテクノロジーを効率的に組織のマーケティング戦略とオペレーションに統合するかを討議する、ベンダー中立的なカンファレンスで、22日までの2日間にわたって開催する。

MarTech USA 2016の基調講演会場
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 デジタルマーケティングの拡大によってここ数年、マーケティングとITの両方に専門性を持ち、リーダーシップを発揮できるハイブリッドな人材への需要が世界的に高まっている。MarTechは、マーケターとITリーダーが部門の壁を超えて交流を図り、組織に創発的なコラボレーションをもたらすことを目指している。第1回は2014年8月に開催し、今回が4回目となる。

 主催者側によると、100社以上のマーケティングテクノロジーベンダーが出展し、マーケティングテクノロジー調達の意思決定に携わる2000人超が参加する規模という。今回のMarTechの出席者は、60%以上がマーケティングもしくはIT担当のエグゼクティブという。意思決定権限を持つ幹部層の出席者が、この場をマーケティングテクノロジーに関わる情報交換の場として活用する格好だ。

MarTech USA 2016で話すScott Brinker氏
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 主催者であるScott Brinker氏は、インタラクティブコンテンツ企業のion Interactiveの創立者兼CTOである。2008年からブログ「chiefmartech.com」を運営しており、マーケティングテクノロジーが組織のマーケティング戦略やオペレーション、文化を変えてきた過程を熟知する、この分野の第一人者である。

 Brinker氏は今回の基調講演の目玉として「Marketing Technology Landscape 2016年版」を発表した。2016年3月時点のマーケティングテクノロジーソリューションの数は3874となり、1876だった2015年1月から1年2カ月で2倍強に増えていた。

Marketing Technology Landscape Supergraphic (2016)のイメージ
http://chiefmartec.com/2016/03/marketing-technology-landscape-supergraphic-2016/からPDFまたはJPEGファイルをダウンロードできる
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 ここまでソリューション数が増えた背景には、主要ベンダーでさえソリューションのスイート化が困難であり、複数のソリューションを組み合わせるアプローチが現実的だからだという。そうなると、テクノロジーソリューションを連携させるIPaaS(Integration Platform as a Service)が重要な役割を担うようになり、今後の成長を期待されている。

 マーケティングの分野ではミドルウエアの存在感が増しているという。その背景にあるのは、ユーザー企業がテクノロジーのサイロ化の弊害を認識していることがある。ミドルウエアの重要性は、企業規模やB2C、B2Bの違いにかかわらず全ての分野で高まっている。イベント会場では、自社に必要なソリューションを組み合わせたモデル「マーケティングテクノロジースタック」の作り方について、討議が交わされていた。

 そのほか、組織に関連するテーマとして、マーケティング部門がビジネス目標に密接にかかわる部門へと変革を求めるセッションが設定されていた。終盤のパネルディスカッションで提示された「組織の透明性が重要」という意見は、多くの企業に参考になるはずだ。この意見の背景にあるのは、マーケティング部門だけで閉じた活動をしていたのでは「何をやっているかわからない」とみなされること。これでは同部門が間接部門から脱却することは難しい。

 企業がデジタルマーケティングの予算を拡大するには、経営層とビジネスゴールを共有した上で、テクノロジーに適切な投資をしなくてはならない。初日のイベント会場では、テクノロジーだけでなく、組織のサイロ化からも脱却が必要であることが示されていた。