芳香消臭剤、チルド飲料、ノート、パスタソースなど家庭でおなじみの食品や日用品―。競争が激化したり需要が飽和したりするこれらの市場で、ヒット商品を生むことは年々、難しくなってきている。ところが、こんな市場でも顧客を魅了し、予想を上回る売り上げをたたき出す商品が生まれている。ヒットメーカーたちは現場で得た気づきや調査などからヒントをつかみ、商品開発に反映している。彼ら彼女らが見つめるのは、アンケート調査などの定量データや、現場担当者や顧客の声といった定性データ。そこから顧客自身も意識していない嗜好や価値観を見いだす“目利き”のスキルが武器だ。「お姫様気分」を演出する消臭剤を開発した小林製薬。「殺伐」ゲームで中高生の心を捉えたバンダイナムコ。明治、コクヨ、キユーピーの目利きたちは定説を覆す事実をつかみ、商品開発に生かした。何をすくい上げ、何を切り捨てたのか。目利きたちのデータ活用術に迫る。

ヒットメーカーが語る データの目利き術---目次
目次
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定説を疑えば新しい事実が見える
数カ月に1度のペースで新商品開発を繰り返しているものの、ヒット商品に育たない─。こんな状況が続いていた明治のミルクコーヒー商品で、数年ぶりのヒットが出た。“ミルク好きのミルクコーヒー”と銘打ったチルド飲料商品「明治 白のひととき」だ。
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体験版ユーザーの生声を徹底活用
目利きは殺伐感に着目
シリーズ4作で合計300万本。第1作が63万本─。20~30万本売れれば大ヒットとされる家庭用ゲーム市場で好調なのが、バンダイナムコ エンターテインメントが手掛けるハンティングアクションゲームシリーズ『ゴッドイーター』だ。
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おじさんが追究した“かわいい”の正体
目利きはピンクの電卓に着目
うすい桃色の楕円形に銀のティアラ。香水のような外見のこの商品は、小林製薬が2014年4月に発売した室内用芳香消臭剤「 Sawaday PINKPINK」だ。