うすい桃色の楕円形に銀のティアラ。香水のような外見のこの商品は、小林製薬が2014 年4 月に発売した室内用芳香消臭剤「 Sawaday PINKPINK」だ。サワデーは1975 年からある老舗ブランド。芳香消臭剤の購入客は主に40 ~ 50代の主婦で、20 ~ 30代女性は敬遠しがちだ。
小林製薬はSawaday PINKPINKでこの現状を打破。若い女性に向けて中身も外見も一新した新商品の売上高は、販売開始後1 年で18 億円に達した。トップメーカーの同社でも、初年度売上高10 億円超えの新商品はまれななかでの成果である。
開発を担当したのは、日用品事業部マーケティング部芳香・消臭剤グループ開発プランナーの木村隆晴氏。「狙い通り20 代や30 代の女性のお客様をこのマーケットに引き込めた」と話す。
商品開発15 年の経験を持つ木村氏は2012 年夏、新商品の開発に女性社員数人と挑んだ。市場拡大を狙ってあえて20 代女性向けの商品とした。開始当初、消費者3000 人を対象に同社が実施する調査などの定量データを分析。「若い女性はにおい消しを必要としていないが、香りは生活に必須と感じている」とつかんだ。「消臭機能は最小限にして香りを重視」という基本コンセプトが固まった。