BtoBビジネスで、企業が狙うべきアカウント(企業群)を定義し、そこからの売り上げを最大化するためのマーケティング手法がABM(Account Based Marketing)だ。日本でもABMを実践する企業が増えているが、その効果を最大化するためのポイントは何か。ABMの動向に詳しいシンフォニーマーケティング 代表取締役の庭山一郎氏とユーザー企業の立場で早くからABMを実践してきたKDDI ソリューションマーケティング部 部長の中東孝夫氏の対談からヒントを探る。

(聞き手は松本 敏明=日経 xTECH Active、
記事構成は下玉利 尚明=タンクフル)


ABMの現在の動向をどのように捉えていますか。

庭山:ABMが注目された背景には、マーケティング部門から渡される「リード」の営業部門での受入率がとても低いという状況がありました。マーケティング部門は、「SAL(Sales Accepted Lead)」、つまり自分たちが作ったリードのうち営業部門に受け入れられたリードによって評価されます。そこを改善しよう出てきたのがABMという考え方でした。

庭山一郎(にわやま・いちろう)
シンフォニーマーケティング 代表取締役
1990年シンフォニーマーケティング株式会社を設立。データベースマーケティグのコンサルティング、インターネット事業など数多くのマーケティングプロジェクトを手がける。1997年よりBtoBにフォーカスした日本初のマーケティングアウトソーシング事業を開始。製造業、IT、建設業、サービス業、流通業など各産業の大手企業を中心に国内・海外向けのマーケティングサービスを提供している。海外のマーケティングオートメーションベンダーやBtoBマーケティングエージェンシーとの交流も深く、長年にわたって世界最先端のマーケティングを日本に紹介している。著書に『究極のBtoBマーケティングABM(アカウントベースドマーケティング)(日経BP社)など。中央大学ビジネススクール客員教授。
(撮影:新関 雅士)
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 日本では、MA(Marketing Automation)が普及したことで、2014年頃から営業機会を創出する組織である「デマンドセンター」を設立しようという動きが見え始めています。それによって、マーケティング部門が絞り込んだ見込み客のリスト「MQL(Marketing Qualified Lead)」を営業に渡せるようになってきたのが、ここ数年の状況です。

 ただ、日本にはまだまだ「うちは営業が強いから」という会社が多いですね。マーケティング部門が強い米国と比べて、日本は「営業部門が強すぎて」、せっかくのMQLが無視されてしまうことが多いのも実情です。

 マーケティング部門にとっては、リードを渡しても営業が追いかけてくれないので、売り上げに対する業績評価ができないことになってしまう。マーケティング部門が、会社の売り上げにどう貢献しているのか分からないという会社は、実はまだ多く存在します。

中東:その辺りの状況は、企業がSFA(Sales Force Automation)を導入しているかどうかで変わってくると思います。営業部門にリードを渡した後、どこまで追いかけてくれているのかといった進捗状況や、売り上げに結びついたかどうかの成果を深く掘り下げる場合には、どうしてもSFAが必要になります。

 要するに「案件管理」の仕組みが確立されていないと、何をどうやってもABM自体が始まりません。

 日本でSFAを導入する企業が、ここへ来て増えていると感じます。SFAがあってこそ、MAの導入も意味を持ち、リードの無視率やコンバージョン率がどのくらいか評価できるようになります。評価ができる体制が整ってくるのと併せて、ABMに取り組む企業も増えてきているという流れがあると感じています。

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