同じ場所に複数の無線LANがあっても、これらが用いる周波数に重なりがなければ、無線LAN同士の干渉は起こりません。このことから、複数のアクセスポイント(AP)を利用する場合、周波数が重ならないチャンネルを選ぶのが一般的です。しかし、比較的規模が大きい無線LANを構築しようとすると、どうしても同じチャンネル(周波数)を用いるAPが複数必要となります。こうしたケースでは、APは距離がなるべく離れるように配置することになるでしょう。

 こうしたチャンネルやAP間の距離について考慮する必要がある無線LANを、5GHz帯で構築する場合、もう1つ注意点があります。利用するチャンネルによっては、DFS(Dynamic Frequency Selection)という機能の影響でチャンネルや距離に対する配慮が台無しになる可能性があることです。今回は、このDFSという機能を中心に、5GHz帯の無線LANについて考えてみます。

無線LANが用いる5GHz帯の電波とDFS

 私たちが日常使っているノートPCやスマートフォンで無線LAN通信を行う場合、2.4GHz帯か5GHz帯のいずれかの無線LANチャンネルで、パケットの送受信が行われています。2.4GHz帯で利用できる周波数の幅は100MHzに満たないのに対し、5GHz帯では現時点で5.15GHz~5.25GHz、5.25GHz~5.35GHz、5.47GHz~5.725GHzが利用できるので、はるかに多くの無線LANチャンネルを収容できます。この3つの周波数帯は、順にW52、W53、W56と呼ばれることがあります。 

 もともと無線LANは、IEEE802.11bという2.4GHz帯を用いる仕様を起点として普及が進んできた背景があり、2.4GHz帯の無線LANが多数派という時期が少し前まで続きました。しかし2.4GHz帯は、本連載の前回に解説した通り無線LANのほかに電子レンジやBluetoothなど様々な用途で用いられています。また無線LAN自体も増えて大変混雑してきたことから、徐々に5GHz帯へシフトしています。

 また、現時点での最新の無線LAN規格であるIEEE802.11acは、用いる周波数を5GHzに限定しています。複数の無線LANチャンネルを束ねて高速化するチャンネルボンディングという技術があり、従来の無線LAN規格であるIEEE802.11nでは2つの無線LANチャンネルを束ねることができましたが、IEEE802.11acでは最大8つまで拡張され、これも5GHz帯に限定している理由となっています。IEEE802.11acが普及するにつれ、無線LANが中心的に用いる周波数帯は5GHz帯になっていくでしょう。

 先ほど無線LANでは5GHz帯に3つのチャンネルのグループがあることをご説明しましたが、実はグループによって利用条件に違いがあります(表1)。これは5GHz帯を正しく使う、あるいは上手に使うために非常に重要ですので、ぜひ覚えていただきたいと思います。

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表1●5GHz帯のチャンネルのグループと利用条件

 W53とW56に対して「TPCおよびDFSの実装」が必須となっていることに注目してください。W53とW56は、もともとは気象レーダーなどが利用する周波数帯で、これらと共存するための機能が必要とされています。

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