「御社製品が素晴らしいのは分かりました。で、実績は?」

 こういう質問がないBtoB商談は、まずないと言い切ってよいでしょう。特に「ソリューション」「コンサルティング」「サービス」のような、目に見えず、表面スペックでよしあしが測りづらく、その割に値段が高い商品で出てくる質問です。

 この問いに口ごもるようなら、その商談はおしまいで、それまでの営業努力は全て水の泡と消えてしまいます。どんなに性能が優れていても実績が無いと導入してもらえないのが法人営業。「そんなこと言ったら最初の最初はどうするんだよ」という言葉が喉まで出かかりますが、それは売る側であるあなたの都合であり買う側のお客はそんなことは気にしません。

 実績のない製品はコワイ。危険は避けたい――。それが法人ユーザーの偽らざる本音です。実績を見せないことには話が始まりません。

 BtoB営業の商談相手が最も重視するのは実績、ということはBtoBマーケティングで最も重要なのは、自社の実績を効果的に伝えることといえるでしょう。書店に並ぶマーケティングの理論書には華やかな最新マーケティング手法が紹介されていますが、商売とはお客あってのものです。あまり難しいことはとりあえず考えるのを止めて、お客が実績を見せろというなら素直にそれを見せれば良いのではないか…と、これは十数年前、まだ会社員だった私が出した結論でした。

 そうと決まればさっそく行動を開始。外資系ソフトウエア会社のマーケティング部員だった私は、既存顧客にアポを取ってインタビューに行き、写真を撮って、その内容を5000字~1万字程度にまとめた「ユーザー事例」を大量に制作し、できたはなからホームページにどしどし掲載してメルマガでも告知しました。事例マーケティングを実践してみたわけです。

 その結果どうなったかというと泣かず飛ばずだった、ある落ちこぼれ商品の売り上げが徐々に伸び始め、事例の数が200本に達したときには年商20億円の大ヒット商品に成長していました。

 この商品はそれから十数年たった今も、全世界で日本だけ突出して売り上げが高いそうです。この事実は日本支社が独自に行った事例マーケティングが効果的だったことを裏付けています。

 この成功体験を基に私は38歳で独立、「ユーザー事例だけを専門に作る」広告制作会社を設立し、以来ERPからカニ卸まであらゆる業種のBtoB事例1000本以上を制作しました。

 その結果として分かったのは、ユーザー事例が効果的な商材は、「目に見えない」「説明しにくい」「だから高いと思われやすい(なぜその値段なのか納得がいかない)」商品であるということです。それらはどれも「ソリューション」「サービス」「コンサルティング」などで称されていました。

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