マーケティングの世界でよく使われる「最適化」、あるいは「全体最適」というこの言葉、いささか過大評価されすぎではないかというのが筆者の考えです。

 特に「全体最適」という言葉は「全体が、最適になる」という単語構造が非の打ち所のない印象を与えるせいか、「最上、最高」の上級表現、スマートな言い方として使われがちです。しかし「最適化(optimization)」とは必ずしも最上、完璧を意味しません。

 「最適化」の語源ではラテン語のoptimum(最も良い)ですが、英語では「特定の条件下で最高の出力(成果)を出せるよう設定する」というように厳密に定義して使われます。

 例えば英単語としてのoptimum(オプティマム)は、「(ある条件下での)最高限度、最上の結果、最高の妥協」「(生物の成長・繁殖のための)最適条件」のことです。数学でのoptimizeとは「ある条件のもとで、特定変数を最大(または最小)にする処理」を指します。

 これは英語としても固い言葉で、筆者の手元にある英英辞典(Collins COBUILD Intermediate Dictionary)にoptimizeという言葉は載っていません。つまり日常用語ではなく学術やエンジニアリングで使われる専門用語です。

 最適化の定義で重要なのは「特定の条件下で」という部分です。これは裏を返せば「条件が変われば、その設定では最高の結果は出なくなる」ことを表しています。

 もっと砕いていえば、最適化された状態とは「その時は良いかもしれないけど、ガチガチすぎてアソビが少ない。環境が変われば、途端に無力になることもありうる」とも表現できます。

 特定環境に適応しすぎるあまり外界の環境変化に対応できなくなることを揶揄して「ガラパゴス化」といいます。これは言葉本来の意味としては、ガラパゴス諸島の環境に合わせて生物が自らを最適化した状態のことにほかなりません。

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