事例は「既成事実に基づく販促」である

 筆者はユーザー事例の制作会社を経営しています。あるとき営業コンサルティングのA社から、自社の顧客であるB社に取材して、事例を制作してほしいという依頼が来ました。

 これを受け、弊社の制作スタッフはB社の営業本部長に取材し「A社のコンサルティングを受けた理由は?その効果は?」という取材をして文章をまとめました。ところがA社から、クレームが来てしまいました。

 クレーム内容は「我が社は今、単なる営業支援を脱皮し、総合的な経営コンサルティング企業に生まれ変わろうとしている。なのにこの事例には営業コンサルティングのことしか書いていないではないか!」というものでした。

 筆者は正直、これは無理筋のクレームだと思いました。A社が【これから】経営コンサルティングを強化するというのは分かります。しかし、A社がB社に【これまで】提供していたのは営業コンサルティングであり、その事例を取材すれば『営業コンサルティングの事例』が出来上がるのは当然のこと。そう、トマトの種をまいたらトマトが生えてきたというのと同じぐらい当たり前です。

 このときは文章中の『営業コンサルティング』という言葉を『経営コンサルティング』に一括変換するほか、「営業コンサルティングをした」と思わせる事実やエピソードは削除して、それを抽象的な感想、キレイな理屈に置き換えることを求められました。

 A社の例は極端ですが、同じような要望を受けることはよくあります。こうした要望をするクライアントには、「自分はこうありたい」「こう見られたい」という強いセルフイメージがあります。

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