米国がIoT(Internet of Things)で世界のリーダーシップを取ろうと、研究開発の強化に乗り出した。バラク・オバマ米大統領は2015年9月14日、「スマートシティ・イニシアティブ」というコンセプトを発表。スマートシティづくりに必要な技術の研究開発に1億6000万ドルの助成金を充てる計画を明らかにした。もちろん、中核となる技術はIoTやビッグデータ解析である。

 本コラムでもいくつか取り上げてきたが、街づくりにICT、もっと言えばIoTを活用する例が世界的に広がっている。いわゆるスマートシティづくりである。交通渋滞や交通事故の増加、エネルギー・資源不足といった都市の課題を、ICTをはじめとする技術を駆使して解決し、住民にとってよりよい生活環境を実現しようという取り組みだ。

 米国でも、以前からいくつかスマートシティプロジェクトは進められてきた。ただスマートシティづくりは、米国内だけでなく、新興国を含む世界各地で活発化している。そこで米国政府は、スマートシティ・イニシアティブを立ち上げて技術開発を加速させ、世界のIoT×街づくりの市場で主導権を取ろうとしているものと考えられる。

スマートシティ市場の覇権を狙う

 スマートシティ・イニシアティブでは、米国の各省庁・組織横断的に、既存・新規の研究開発プロジェクトに対して予算を割り当てる。これまで省庁ごとの助成はあったが、横断的な取り組みは初めて。このことから、米国政府のこれまで以上に積極的な姿勢がうかがえる。

 具体的には、例えば全米科学財団(NSF)と米国標準技術局(NIST)の新規プロジェクトに3500万ドル以上、既存プロジェクトに1000万ドル以上の助成金を投入する。内訳は、

  • ヘルスケアからパブリックセーフティまでをカバーする、次世代インターネットの研究開発に1150万ドル
  • 分散電源と既存の電力網との接続や自動運転自動車などフィジカルな対象とネットワークとを結ぶ新しい「サイバー・フィジカル・システム」の研究に1000万ドル
  • シカゴの街中における、センサーを素早く展開できるようにする研究用インフラの整備に300万ドル
といった具合である(表1)。

表1●米国政府が発表したスマートシティ・イニシアティブでの投資対象
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 同様に、国土安全保障省、運輸省、エネルギー省、商務省、環境保護庁における新規研究開発に約7000万ドル、既存プロジェクトに4500万ドル以上を割り当てる。

 国土安全保障省では、次世代の緊急対応システムに向けた最先端技術の開発に5年間で5000万ドルを投入する。運輸省はマンハッタンおよびフロリダ州タンパ市における「コネクテッド・カー」の実証実験に、それぞれ2000万ドル、1700万ドルを助成する。また、人の移動(旅行)データと連携したスマートフォン向け情報提供などの研究に400万ドルを投入する。

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