米国では、B2Bマーケティングの効果を高めるアプローチとして、Account Based Marketing(ABM、アカウント・ベースド・マーケティング)に大きな期待が集まっている。「アカウント」とは今後のビジネスターゲットとする企業、あるいは得意先企業のこと。ABMそのものは古くからある考え方だが、最近の議論の焦点は、ABMによるアプローチのために、最新のデジタルテクノロジーを取り入れて、現場でどのような具体的な方策を取れるかに移り始めている。

 2016年5月に米国で開催したイベントで、2016年秋にABMのアプローチに即した機能のリリース予定であると明らかにした、米Marketoの日本法人、マルケト代表取締役社長の福田康隆氏に、同社が考えるABMと日本での展開について話を聞いた。

(聞き手は松本 敏明=ITproマーケティング、
記事構成は冨永裕子=ITアナリスト)

Marketoが考えるABMとはどのようなものか?

マルケト 代表取締役社長の福田康隆氏
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 幅広い意味を持つABMについて、その定義は関わる企業の立場や扱うサービスなどによって差異がある。そこでまず、MarketoがABMをどのように捉えているか、同社にとっての用語の定義とプロセスを聞いてみた。

 MarketoはABMについてこう定義している。

“A strategic approach to sales and marketing where you focus you efforts on a specific set of high-value accounts with personalized messaging, campaigns, and outreach”
出典:The Marketo Marketing Nation Summit 2016での発表資料

 この定義を理解する上で重要になるのが「高付加価値アカウント(high-value accounts)にフォーカスする」という考え方である。高付加価値アカウントとは、具体的にはパレートの法則でいう「売り上げの8割をもたらす2割の企業」のこと。単に取引単価の大きい大口顧客ではなく、「累積購入年数が長い」「購入頻度が高い」といった中長期的な視点も加味した優良顧客のことであり、企業価値の源泉であるブランド価値の向上にも貢献する。

 福田氏は、この定義について次のように解説する。「ABMは特定の業種やビジネスモデルに偏ることなく、広い意味で捉えられるべき戦略的アプローチで、非常に多くのB2B企業で受け入れられている」――。

 マーケティングオートメーション(MA)は、リーチを広げることを前提にしている。これに対して、B2Bを展開する企業は、その規模が大きいほど、重要なアカウントを絞り込んだアプローチを展開している。

 ただし、MAで実現できる、パーソナライズされたメッセージングとキャンペーンを複数のチャネルを使って展開するアプローチは、ABMでも必要となる。「今まではリード(個人ユーザー)を対象に取ってきたアプローチを、自社に高付加価値をもたらすキーアカウント(企業)単位でも実施するようになる」(福田氏)。

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