「VoLTE(ボルテ)」とは、スマートフォン(スマホ)や携帯電話のLTE(Long Term Evolution)ネットワーク上で音声通話を実現するために標準化団体の3GPP(Third Generation Partnership Project)で制定した標準規格のことです。LTEはもともと、高速なデータ通信を実現するために誕生しました。このLTE上で音声もやり取りするために、少し遅れて登場したのがVoLTEです。

LTEとVoLTEの歴史
VoLTEはLTEと同時には始まらず、少し遅れてのサービスインとなった。そのため、LTEの開始当初は音声通話では3Gを使っており、現在は徐々にVoLTEに移っている。
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 国内のサービスとしては、NTTドコモが他社に先駆けて2014年6月から実用化しました。続いてKDDIが2014年10月、ソフトバンクは2014年12月からスタートさせています。現在では、大手キャリアが販売する端末のほとんどがVoLTEに対応しており、一部のSIM(Subscriber Identity Module card)フリースマホでも利用できるようになっています。

データと音声を一緒にやり取り

 VoLTEがなかった時代には、データ通信と音声通話は別々のコアネットワークを経由してやり取りしていました。リアルタイム性が要求される音声通話に関しては、低速ながら回線を占有できる「回線交換ネットワーク」を使うことで一定の品質を担保していたのです。

VoLTE非対応とVoLTE対応の場合の通信の違い
VoLTE非対応の環境では3G時代と同じ回線交換ネットワーク上で音声をやり取りするが、VoLTE対応の場合はLTEネットワーク内に確保した一定の帯域を使って音声のパケットをやり取りする。
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 一方、データ通信はデータをパケットと呼ぶ細かい単位に分けて送信します。途中の通信状況によっては遅延などが発生することがありますが、回線の利用効率は高くなり、大量のデータを短時間で送ることも可能になります。

 これに対しVoLTEでは、音声通話もデータ通信と同様にパケットとしてLTEネットワーク上でやり取りします。ただし電話としての品質を確保するためにQoS(Quality of Service)機能を使って音声パケット用に一定の帯域を確保しています。

IP電話より品質が安定

 IPネットワークのパケットを使って音声をやり取りするという広義の意味では、SkypeやLINE通話などのIP電話と同じです。ただし、VoLTEは基地局などのコアネットワークを提供しているキャリアの正式な音声サービスです。そのため、無線でやり取りする部分までを含めて、きちんと制御して安定した品質を保証できるのが大きな特徴です。

VoLTEとIP電話の違い
IP電話も音声データをパケットでやり取りするが、キャリア内やインターネットで他の通信の影響を受ける。それに対し、VoLTEは影響を受けず安定した品質で音声通話ができる。
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 IP電話のパケットは、通常のデータ通信と区別せずに扱われます。キャリアの通信設備内でもインターネット上でもパケットはベストエフォートで転送されるため、データ通信が集中して混雑する状況になると遅延やロスが発生する恐れがあります。もしそうなると、通話中に音が途切れたり、最悪の場合は切断されてしまったりする場合があります。