「ITインフラSummit 2018」のソリューション講演に、富士通クラウドテクノロジーズの小澤将典氏が登壇、オンプレミスの業務サーバーをVMwareベースのクラウド(「ニフクラ」)に移行する際のノウハウや注意点を詳細に説明した。

 なお、同社は2017年4月にニフティから分離、2017年10月には、パブリッククラウドサービス「ニフティクラウド」を含むすべての法人向けサービスを新ブランド「ニフクラ」に統合している。

富士通クラウドテクノロジーズ クラウドサービス事業本部インフラSRE部 小澤 将典氏

 同社は2011年、創業25周年を機に本社を移転。その際に、25年間利用してきたサーバールームを廃し、全サーバーをクラウド(現在の「ニフクラ」)に移行することを決断した。移行の対象となったのは、約300台の物理サーバーのうち、本当に必要と判断された100台強だ。

 基本的には、古いOSを更新したうえでクラウド上の新しいサーバーに再構築したが、再構築が不可能だったサーバー約30台については、物理サーバーをイメージファイル化してクラウドに移行するP2C(Physical to Cloud)で対応した。

 P2Cの作業は3つのステップで進めた。まず、クラウドに移行できるサーバーを絞り込む(ステップ1)。次に、物理サーバーをファイルに変換する(ステップ2)。ここでは、無償で利用できるVMware vCenter Converterを利用した。最後に、クラウドにインポートした(ステップ3)。この3ステップを踏むことで、業務システムのクラウド移行が無事、成功した。

「ディスク受け取り」も提供、ニフクラのクラウド移行支援

 同社が運営するVMwareベースのパブリッククラウド「ニフクラ」には、同社自身のクラウド移行のノウハウ・知見が活かされている。例えば、前述の「ステップ3」を支援する2つのインポートサービスがある。

 1つめはインターネット経由で転送するサービス。ネットワークに負荷がかかるのが難点だが、ある程度時間がかかってもよい場合には適している。2つめは「ディスク受取サービス」だ。これは、イメージファイルを保存したディスクをニフクラが受け取り、クラウドへのインポートを代行するサービスだ。夜間、休日の受付にも対応しているので、スケジュールに余裕がない場合に有効だ。

 クラウド移行では、事前検証も欠かせない。小澤氏は、「特に物理サーバーをいきなりクラウド移行するP2Cは難易度が高い」とし、まず物理サーバーを仮想サーバーに変換(P2V)してから、仮想サーバーをクラウドに移行する(V2C)が無難だと強調した。

 また、P2V後はハードディスクが認識できず、起動しないケースも多いが、ほとんどはドライバソフトが原因であり、ドライバを削除してVMware Toolsをインストールすることで解決できるというノウハウも紹介した。

 さらに技術面以外の注意点として、小澤氏は「責任分解点」という言葉を挙げ、問題が発生した際、どこまでが自社の責任でどこまでがニフクラの責任なのかを理解しておくことが大事と述べた。「基本的には、仮想マシン以上はユーザー側、仮想マシンより下の物理環境はニフクラ側の責任となる」とした。

 このように、いくつかのポイントを理解しておけば、オンプレミスの業務システムをクラウドに移行することは、決して難しいことではないと小澤氏は強調し、講演を締めくくった。