日々新しいプロダクトやサービスが登場する中、マーケターは目まぐるしい変化に日々直面しています。前回の記事でも話題に上ったように、マーケティングの現場では複雑に絡み合ったテクノロジーそれぞれの特徴を理解し利活用していく必要があります。テクノロジーに振り回されるのではなく、自社に適用する必要性を判断できなくてはいけません。

 マーケティングとテクノロジーの関わりをひも解く切り口として、今回はアカデミックな立場から歴史的な背景を踏まえて、テクノロジーとマーケティングの関係性や今のマーケターに何が求められるのかを探っていきたいと思います。今回は、フィリップ・コトラー氏にも直接指導を受けた経験があり、長年にわたりテクノロジーベースのマーケティングイノベーションに携わってきた立命館大学大学院経営管理研究科教授の鳥山正博氏に話を聞きました。

近年はテクノロジーの進化とともに、施策に寄った「デジタルマーケティング」という言葉が出てきていると感じています。ではそもそもマーケティングとは何なのでしょうか?

立命館大学大学院経営管理研究科 教授 鳥山 正博氏
国際基督教大学卒(1983)、ノースウェスタン大学ケロッグ校MBA (1988)、東京工業大学大学院修了、工学博士(2009)。1983より2011まで(株)野村総合研究所にて経営コンサルティングに従事。マーケティング戦略・組織を中心にコンサルテーションを行う。とりわけテクノロジーベースのマーケティングイノベーション、脳科学とマーケティング、AIとマーケティングが最近の関心領域。
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 デジタルマーケティングという言葉が取り沙汰されています。しかし今も昔もマーケティングの本質は変わりません。

 P.F.ドラッカーは、著書『断絶の時代』の中で「マーケティングの理想は販売活動を不要にすることである」と言っています。T・レビットは、著書『マーケティング発想法』の中で「ドリルを買う人が欲しいのは穴であってドリルではない」と言いました。どちらも50年近く前に書かれた書籍で、今もその言葉の意義は変わりません。

 私は、学生にマーケティングとは何かを伝えるために“プレゼント”を例に話をします。みなさんもこれまでの人生の中で誰かにプレゼントを渡したり、もらったりしたことがあると思います。

 プレゼントを誰かに渡すときは、相手のことを考えて、どんなプレゼントを、いつ、どこで、どうやって、渡したら喜んでくれるだろうかと試行錯誤しますよね。その結果、反応が良かったときと悪かったときがあったと思います。もらった際も同様に、うれしいときとそうでもないときがあるでしょう。

 これこそが、マーケティングの本質だとだと私は思っています。これはどんな時代でもそう大きくは変わりません。

テクノロジーの進化とともに手法は変わりますが、「相手の気持ちを考えて心を動かす仕掛け」という意味では何も変わっていないのですね。マーケティングの中でテクノロジーはどのように活用されて進化してきたのでしょうか。

 マーケティングは大量生産が可能になった20世紀になってから生まれた概念ですが、江戸時代にもあるいはもっともっと昔から「商売」は存在していました。

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