ABM(アカウントベースドマーケティング)とは、企業が「攻略すべき企業群(アカウント)」を絞り込み、その企業群に「組織として」アプローチし、営業活動を仕掛け、その企業群からの「売り上げを最大化する」ためのマーケティング手法であり戦略である。

 デジタルマーケティングの分野では、MA(マーケティングオートメーション)がよく知られている。MAは文字通り「マーケティング活動の自動化」であり、ツールの導入・活用によって実現できるようにする。

 これに対してABMは「マーケティングの手法であり戦略」である。MAやSFA(営業支援ツール)を導入するだけで可能になるものではない。ABMは「いかに実践していくか」が重要となる。

 そこで本コラムでは、先月までの連載「ゼロから理解するABM」を引き継ぐ形で、ABMを実践する際のポイントを紹介していく。「ABM実践編」の連載第1回目となる今回は、ABMを自社で実践するための手順、そして実現可能なゴール設定の考え方について説明する。

ABMで狙うべき「マーケットサイズ」を設定する

 企業が製品やサービスを販売するとき、市場=マーケットの大きさは気になるところだ。そこでABMを実践する際の「マーケットサイズの捉え方」を説明しよう。

 ABMにおけるマーケットとは、「実名企業の集合体」といえる。自社の製品やサービスの市場を漠然と考えるのではなく、具体的な企業名、つまり「by Name(バイネーム)」の企業の集合体が「市場」となる。その市場の中から、自社が攻略すべき企業をターゲティングしていく。

 それでは、どうやってマーケットサイズを捉えるのか。分かりやすく説明するために、「1案件で1億円のサーバーシステム」を扱う会社がABMを実践するケースで考えてみよう。

 仮に1億円のサーバーシステムが売れそうな会社が1000社あるとする。ここでまずは、ざっくりした捉え方でもかまわないが、「潜在ターゲット社数」を想定することが必要だ。逆にいえば、「大きい売り上げが見込める潜在顧客をby nameで絞り込めない場合には、ABMを進めるのは難しい」となる。

 次にその1000社の中から、「自社製品でなくてもいいので、自社の製品と同等程度のサーバーシステムを実際に導入していると思われる企業」=ターゲット企業群の最大マーケットサイズを想定する。それを600社と仮定し、平均的なサーバーシステムの買い換え周期を3年とすると、つまり、「案件発生可能性率」を約33%とする。

 この結果、「今年、買い換える可能性がある会社」は約200社であると推定できる。自社から買うかどうかは別として、「ターゲット企業全体=ABMにおけるマーケットを全体の中で、自社と同等程度の製品に買い換える可能性のある会社」と推定できる。

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