機械学習やディープラーニング(深層学習)の進展により、「GPU(Graphics Processing Unit)」を採用したスーパーコンピューティング環境の整備が進んでいる。併せてGPU関連インフラサービスが充実し、これらを活用したアプリケーションも広がりをみせている。

世界のスパコンランキングで日本の最高位は?

 「国際スーパーコンピューター会議(ISC 2019:International Supercomputing Conference 2019)」が2019年6月にドイツのフランクフルトで開催された。本会議では、世界のスーパーコンピューターの演算性能を評価するランキングの2019年6月版「TOP500」を発表した。

 「TOP500」の1位となったのは米国オークリッジ国立研究所が運用するスーパーコンピューター「Summit」で、3期連続の1位となった。Summitは、NVIDIA(エヌビディア)のGPU「Tesla V100」を採用し、コンピューターの処理能力は148.6ペタ(10の15乗)フロップス(1秒当たりの浮動小数点演算回数)を誇る。

 日本勢では、産業技術総合研究所(産総研)の人工知能処理向け大規模・省電力クラウド基盤の「AI橋渡しクラウド(AI Bridging Cloud Infrastructure:ABCI)」が8位にランクインした。処理能力は国内最大の19.9ペタフロップスである。

 日本の民間企業では、さくらインターネットが石狩データセンターで稼働させている「高火力コンピューティング」と呼ぶコンピューティング基盤を活用したクラウド型のスーパーコンピューターシステムが54位となった。同システムは、サーバー96台で構成しており、Tesla V100を768基搭載することで、3.71ペタフロップスの演算性能を得ている。

 GPUは発熱量が高く、データセンター内での熱量コントロールに課題を抱えている。石狩データセンターは北海道の低温外気を活用した外気冷房システムを導入するなど、大量のGPU運用に適した環境を整えている。

利用が広がるGPUコンピューティング

 「TOP500」に並んだスーパーコンピューターの多くはGPUを採用している。日本でも大規模なGPUコンピューティング基盤を整備し、ディープラーニングの計算資源として活用する動きが拡大している。

 例えば情報通信研究機構(NICT)は、多言語音声翻訳アプリ「VoiceTra(ボイストラ)」の多言語音声翻訳の計算資源として、GPUコンピューティング基盤を活用している。さくらインターネットの計算用サーバー109台にGPUを872基搭載し、6.09ペタフロップスの演算性能を誇っている。

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