前回は、今の時間を奪う「時間泥棒」と未来の時間を盗む「時間泥棒」の二人がいたことに気づいた私が、未来の時間を創り出す「時間投資家」となり、取り戻した時間を投資することで、未来により大きな時間を配当として得ようとしている話を書いた。

 今回は、時間の投資によって配当を得ようとする「権限の委譲」について、さらに掘り下げて考える。

権限の委譲は手続きやプロセスの変更ではない

 「権限の委譲」は、「A部長がB課長の購買決裁権限の上限を2000万円まで引き上げた」というように、社内書類上の手続きとなって表に現れる。あるいは「Cマネージャーが若手のDさんを「8月に開催する600人規模のユーザーミーティングのプロジェクトリーダーに任命した。今後、このプロジェクトでは必ずDさんに話をするように」というプロセスの変更の話に見えることもある。

 周りの人からすれば「あ、そうなんだ。おめでとう」程度かもしれないが、委譲された本人は自分の能力を問われ、大きな責任も負うことになる。「いや、単に権限が増えただけですから」などと謙遜しても、お気楽でラッキーな話では済まされない。もちろん、手続きやプロセスの変更で終わりというわけにはいかない。

 では実際に権限委譲をされた人がどのような行動をしたか(あるいはすべきだったか)について、私自身の経験を基に話をしてみよう。そしてここには何人かの「時間泥棒」が現れるので、誰のどんな行動がそれに当たるのか考えながら読んでほしい。

 私が働いていたのは、バイオテクノロジー支援サービスを手がける外資系企業で、技術はもとより国内で販売する全製品はスウェーデン本国からの輸入に頼っていた。

 そんな会社で20年ほど前(私が30代のころ)に、経営陣とマーケティング/営業のトップが大きな決断を下した。国内の某企業とジョイントベンチャー(JV)を立ち上げて、念願だった初の国産製品を開発・製造・販売することにしたのだ。

 その頃の私は営業本部内にいて、全国の販売代理店の教育システムから利益率は高いが単価は低い試薬や小型機器の販売ライセンス制度までを担当する「特命部隊」のリーダー役を拝命していた。「特命」とは聞こえは良いが、大型製品に注力したい営業担当者の手が回らない業務の面倒を見るという役回りだった。

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