数年前からのマーケティングオートメーション(MA)の導入が一巡した後、企業のマーケティングと営業の現場では、営業担当者を支援する機能の多様化が始まっている。商材の売り方が複雑化し、ユーザーから利用した対価を徴収する「サブスクリプションモデル」が広がる中、営業担当者は従来にはないスキルを求められていることが背景にある。

 ここ最近、既存顧客との長期的な関係を収益向上に役立てる「カスタマーサクセス」や、営業現場のパフォーマンス向上を支援する「営業支援基盤(セールスイネーブルメント;本稿では『セールスイネーブルメント』と表記)」という言葉に注目が集まっている。これは、日本企業の営業現場が継続的なプロセス改善に向けて変化を始めたことの現れとも考えられる。

 現在のマーケティングと営業の現場が必要としているテクノロジーは、営業プロセスの隙間を埋めるものが中心となっている。これらはフロントオフィスとバックオフィスの中間にあるため、「ミッドオフィス」と呼ばれることもある。

 テクノロジー視点で見ると、日本のセールスイネーブルメントは単体のプラットフォームの採用ではなく、「Digital Content Management for Sales(営業現場のためのコンテンツ管理)」や「Sales Training and Coaching Solution(営業担当者のトレーニングやコーチング)」といった個別サービスの導入から始まるだろう。

 セールスイネーブルメントについてガートナーは、「Sales Contents」「Preparation」「Training」「Coaching」「Sales Execution」の五つの要素を連携させる基盤テクノロジーとして「Sales Enablement Platform」を位置付けている。だが、ほとんどの日本企業には、これらのテクノロジーを導入する準備が整っているとはいえない。

商材の複雑化で変わる営業のスキル

 営業現場に限らず、日本企業は良くも悪くもプロセスで業務を進めるという意識に欠けている。終身雇用制をはじめ、企業の制度や文化、商習慣の違いに起因する様々な理由があり、先進テクノロジーがもたらす変革を積極的には取り入れづらいのだろう。営業支援システム(SFA)を導入した企業でさえも、「とりあえず営業日報を入力する」だけにとどまっているところが少なくない。

 セールスイネーブルメントに属するテクノロジーでは、CPQ(Configure/Price/Quote:見積もりと請求管理)などの導入が一部で進んでいるものの、海外に比べて普及に時間がかかっているように感じる。デジタル化が進み、顧客とのコミュニケーションが大きく変わった今、営業スタイルが従来のままでいいかという悩みを持つ企業は多い。

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