クラウドの拡大とともに、新しい仮想化技術として米国で採用が広がる「コンテナ」と「サーバレス」。IT部門のインフラ/運用の視点に加え、クラウド・ネイティブ型のアプリ開発の視点でその特性を理解することが重要になる。日本企業はこれらの技術に関連するベンダーやコミュニティーの動向を注視し、適正な採用戦略を策定すべきだ。
仮想マシンと導入目的が異なるコンテナ/サーバレス
現在、企業ITの仮想化技術の主流は、ハイパーバイザーを使う「仮想マシン」である。ただ、クラウド・ネイティブ型のアプリケーションの開発が増加するにつれて、よりアジリティ(俊敏性)が高く、運用コストを抑えられるコンテナやサーバレスを取り入れる企業が増えている(図1)。
コンテナ/サーバレスは、高い信頼性とセキュリティが重視される、これまでIT部門が先導してきた「モード1」のシステムよりも、業務ニーズに応じて短期間で改善を繰り返す「モード2」のシステムにより向いている。
仮想マシンとコンテナ/サーバレスでは、導入を主導する部門が異なるケースがよく見られる。仮想マシンの導入を主導してきたのはIT部門であり、コスト削減や信頼性向上が導入の大きな目的だった。これに対し、コンテナ/サーバレスの導入を主導するのは、IT部門ではないことが多い。具体的には、アジャイル開発やDevOpsなどの手法で新しいクラウド・ネイティブ型のアプリケーションを開発したい部門などである。
コンテナに関していえば、仮想マシンよりも軽量なためコストを下げやすい、プラットフォーム間の可搬性が高いためハイブリッドクラウドに柔軟に対応できる、といったIT部門から見たメリットも多くある。ただし、IT部門の視点だけで考えるとコンテナの利点を生かしきれないことも多い。クラウド・ネイティブ型のアプリケーション開発の視点からもコンテナを理解することが重要だ(図2)。