2020年のMicrosoftのOffice 2016や2025年のSAP Business Suite 7のサポート切れが見えている中、残された時間で企業はどのように契約交渉を進めて、自社に最適な契約を勝ち取っていくのか。効果のある情報を手に入れ、メガベンダーとの交渉を有利に進められる手段を考える。

交渉力を高めるために必要な四つのT

 ここ数年、SAPやOracle、Microsoftに代表されるメガベンダーとの契約交渉にかかわる問い合わせが、増加の一途をたどっている。背景の一つとして、ベンダーによるユーザー企業へのライセンス監査が影響しているとみている。

 2018年8月に発表したガートナーの調査結果によれば、国内のユーザー企業の50%以上が、ベンダーによる監査の対応経験があると回答している。さらに、同調査で監査対応経験があると回答した企業の60%強が、ベンダーから追加の支払いを求められたことが明らかになった。

 ベンダーがライセンス監査を進める意図としては、新しいバージョンへの移行を促す上で棚卸しをしたいこと、M&Aで自社のポートフォリオに加わったソフトウエアの使い方を整理することなどが考えられる。ユーザー企業としては、本格的にソフトウエア資産管理や契約交渉をすべき時期に来ているといえるだろう。

 交渉に臨むユーザー企業には、「Tactics:『戦術的』な競争環境の創出」「Templates:契約の『型』」「Terms & Conditions:契約の条件」「Timing:契約のタイミング」の四つのTを意識することを推奨している。この「4Tフレームワーク」を用い、交渉力を高めるやり方をそれぞれで見ていこう。

交渉に臨む前の環境整備

 最初のTacticsは交渉環境を整備することを意味する。まず全ての分野を一社にすると決め打ちするのではなく、複数のベンダーの競争環境を作ることを薦めたい。

 グローバル企業の「2層ERPモデル」のように、本社で稼働している大規模なERPシステムとは別に、各拠点の事業規模に応じたERPシステムを導入する場合、あるいはERP、CRM、HCM、SCMと分野ごとにベンダーを使い分ける場合で効果的だ。このときは複数のベンダーが候補に残っていることを契約の直前まで匂わせる姿勢が、交渉を優位に進めるためには効果的だ(図1)。

図1●契約交渉時まで2〜3社の候補を残す
出典:ガートナー
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