消費者の生活の至る所にデジタルが入ってきたことで、企業には「顧客接点」が急増している。デジタルマーケティングという言葉が語られ始めた当時、顧客接点として意識されていたものはWebサイトやメールくらいだった。
そんな顧客接点は、スマートフォンをはじめとする“インターネットにつながる端末”の増加と、ソーシャルメディアなどの従来にないメディアの出現と普及によって大きく変化してきた。最近では、これまで顧客接点として考えられていなかったものまでがIoT(Internet of Things)によって、その一部に加わることも少なくない。
新たな顧客接点が広がることで、複数の顧客接点の結びつきによって生まれる「カスタマージャーニー」も大きく変化している。そしてカスタマージャーニーの変化が、それぞれの顧客接点が持つ役割を変えるという現象を引き起こしている。
特に大きく変化したのはソーシャルメディアだろう。米Kitewheel社が発表した『The State of The Customer Journey 2018』がその経過をレポートしている(編集部注:レポート全文は個人情報の入力後にダウンロード可能)。レポートの中で衝撃的なのは、「2015年から2016年にかけて、カスタマージャーニーの中で発生する企業と消費者の様々なインタラクション(相互作用)で、ソーシャルメディアが占める割合が激減している」――という指摘だ。
ソーシャルメディアに代わってインタラクションが増えてきたのは、IoTなどの新たな接点だけではない。メールという古くからの顧客接点が、マーケティングオートメーション(MA)の広がりとともに積極的に活用されるようになっている。
カスタマージャーニーの中で、ソーシャルメディアの役割が相対的に下がってきたのに、マーケターの多くはその変化をきちんと受け入れられていない。そういった状況は、米SproutSocial社が発表したレポートからも垣間見える(編集部注:レポート全文は個人情報の入力後にダウンロード可能)。
同レポートによると「ソーシャルメディアに携わるマーケターの主な“ビジネスゴール”は『ブランド認知向上(80%)』、『顧客・コミュニティに対するエンゲージメントの向上(65%)』、『Webサイトへの流入向上(54%)』となっている」という。この結果は、以前から大きく変わっていない。