ここ数年、デジタルマーケティングの分野で「カスタマーエクスペリエンス」、つまり顧客体験が重要であるという指摘が相次いでいる。その一方で、顧客体験が具体的にどう重要なのか、そしてどれだけ重要なのかを説明することは容易でない。この説得力が不足しているため、企業による顧客体験の向上施策への投資や施策そのものの活性化が進まないケースも多くある。

 そして日本のカスタマーエクスペリエンスについての考え方は、世界の中で大きく異彩を放っているようだ。2018年3月に米プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が発表した『Experience is Everything』というレポートで指摘されている(編集部注:レポートはリンク先ページからダウンロードできる)。少なくとも現時点で日本では海外と比べて、顧客体験を商品の購買やサービスの利用の意思決定要因として重要視していないという。

 このレポートは、米国のほかカナダ、メキシコ、コロンビア、ブラジル、アルゼンチン、英国、ドイツ、中国、シンガポール、オーストラリア、そして日本の12カ国の1万5000人を対象に実施した、顧客体験に関する調査をまとめたものだ。日本は「購買に関する意思を決定する際に、顧客体験が重要な要素となる」と回答した人が31%と、12カ国中最低の数字を記録していた。日本以外の11カ国は全てが60%を越えており(日本の次に低い数字でもドイツの63%)、ブラジル、メキシコ、中国、コロンビアは80%を越えている。

 では日本人は、顧客体験のよしあしにかかわらず、物を買ったりサービスを利用したりするのだろうか。おそらく、そうではないだろう。

 PwCのレポートで「顧客体験を左右するもの」として多くの支持を集めたのは「スピード」「利便性」「(商品やサービスに関する)知識の豊富さ」「親しみやすいサービス(接客)」などである。接客やサポートのレベルが平均して高いと自認してきた日本では、これらでの差異化が難しくなっているのかもしれない。

 日本では、パーソナライゼーションや全ての接点での一貫した顧客体験を、「きめ細やかなお客様対応」や「おもてなし」といったかたちで現実に提供してきた。“当たり前”のものとして提供してきた上に、デジタルによってより “良い顧客体験”を印象付けることを求めらている状況といえる。

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