マーケティング業務を内製化するか、もしくはアウトソースするか――。長い間、多くの米国企業が議論し続けてきた課題である。

 背景にあるのは、マーケティング業務の中で“デジタルな要素”が占める割合が高まるにつれて、これまで外部のリソースなしの運営が不可能だったマーケティング業務を「内製化」できるようになったことだ。その結果、冒頭の議論がより活発になっている。

 ただし、ここ10年は内製化の方に大きく振れているようだ。2013年に全米広告主協会(ANA)は、『The Rise of the In-House Agency(ハウスエージェンシーの台頭)』というレポートの中で、加速するマーケティング業務の内製化を表現していた。これを見ると「2013年にANA会員企業の中にハウスエージェンシーを持つ企業の割合は58%だった。(42%だった)2008年の調査時に比べて16%増えている」という。

 それから5年、米国でマーケティング業務の内製化はさらに進んだようだ。一時期は外部へのアウトソース化に振れ戻った時期があったが、これは内製化のために必要な人材が確保できなかったことが原因だ。

 2018年9月にIHAF(In-House Agency Forum=ハウスエージェンシーの業界団体)が発表した調査結果によると、「2008年にハウスエージェンシーを持つ企業は42%だったが、現在では64%にまで増えている」という。

 ANAが2018年10月に発表した『The Continued Rise of the In-House Agency』というレポートでは、さらにその傾向が加速している(編集部注:レポートはリンク先ページからダウンロードできる)。「ANAの会員企業のうち78%がハウスエージェンシーを使っている」というのだ。ANA会員に限るという条件はあるが、“8割弱”という数字は衝撃的だ。

 内製化が加速した理由は大きく四つ考えられる。それはデータ、コスト、スピード、そして透明性だ。

 企業のマーケティングは、これまで以上に“顧客”と呼ばれる集合を細分化し、その上で高度なパーソナライゼーションをしなくてはならない。そのためには、どうしても顧客のデータを精緻に収集し分析しなくてはならない。顧客に関する膨大なデータを活用するには、自社内でそのための基盤を持つことが重要になる。

 パーソナライゼーションが高度化すると、それに合わせてコンテンツのバリエーションも増やさなくてはならない。膨大なコンテンツを効率良く、かつスピード感のある状態で制作、展開していくためには、どうしても内製化へのシフトが必要になるのだ。

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