生産管理システムの刷新プロジェクトで、製造部門からB氏が担当者としてプロジェクトに参加した。だが、どうもB氏が頼りにならない。エンドユーザーと調整して決めてほしいと依頼したが、約束の期日になっても返事をしてくれない。確認したところ、調整のための会議も開催していないという。このままではプロジェクトが進まない。

 プロジェクトが順調に進むかどうかは、利用部門の担当者の能力に依存する面が多々ある。ただ、エンジニアは利用部門の担当者を指名する立場ではない。そのため、利用部門の業務やシステム開発への理解が浅い人が担当者になるリスクがある。

 こうした「利用部門の担当者が頼りにならない」というリスクを3つの危険度レベルに分け、トラブル脱出法を紹介しよう。

利用部門の担当者に起因するトラブルへの対処策
大ごとになる前に手を打てるよう、担当者支援策と会社の上位レベル同士でコミュニケーションできる体制を用意しておく
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 危険度が最も低いレベル1は「システム開発プロジェクトの経験が少ない」という場合だ。特に問題が発生しているわけではないが、エンジニアからすると不安がある。こうしたケースでは、スケジュールや進め方を手取り足取り教えるといい。

 サントリーシステムテクノロジーの高橋実雄サービス開発部システム開発グループマネージャーは「システム開発の工程や成果物、役割分担などを説明するオリエンテーションを実施する」という。システム開発との縁が薄い人は、何を先に決めておかないとシステムを開発できないのかを知らない可能性が高いからだ。さらに「1日単位のスケジュールを作成して、それに沿って進めるようにお願いする」(同)。

状況が悪化し始めたら同行する

 危険度レベル2は、実際に遅延が出始めたタイミングだ。担当者の社内人脈が少なかったり、調整スキルが不足していたりすると、こうしたトラブルになる可能性がある。最短距離の脱出法は、上流工程の経験豊富なエンジニアが、利用部門の担当者が出席する打ち合わせに同行して支援することだ。

 ただ、相手を傷付けるような介入の仕方をすると、感情的にこじれてしまう。ユーザー系IT子会社でのPM経験豊富なベテランエンジニアは「上司への説明資料を代わりに作成しますよ、エンドユーザーの意見を聞かせて下さい、といった提案をするとよい。利用部門の担当者も困っているため、ほとんどの場合は同意してくれる。資料を説明したり補足したりするという理由で同行すればいい」と同行のきっかけをつかむ技を伝授する。

 最も危険なレベル3は、担当者が無茶な要求をしてプロジェクトの足を引っ張っている状況。ここまで来ると、担当者の上司やユーザー企業の経営者に改善や交代を依頼するしかない。この脱出法は上位レベルで会社対会社のコミュニケーションができる体制の存在が前提となる。利用部門、システム部門、ベンダーの責任者が集まって意思決定をする会議体である「ステアリングコミッティー」の整備が不可欠だ。