米KEMET社は、定格電流が最大で35.4Aと大きいパワー(電源)用インダクター「METCOMシリーズ」を発売した(ニュースリリース)。Cu(銅)製の巻線コイルを金属磁性材料で覆った構造を採用する。いわゆる「メタル・コンポジット・タイプ」のインダクターである。このタイプの特徴は、磁気飽和特性に優れている点にある。一方で、一般的なフェライトタイプなどは、直流バイアスを印加すると、ある電流値で磁気飽和が発生して急激にインダクタンスが低下する現象が発生する。今回発売したインダクターでは、こうした磁気飽和に起因するインダクタンスの低下はほとんど発生しないという。

定格電流が35.4 Aと大きいパワー用インダクター。KEMETの写真
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 DC-DCコンバーター回路に適用すれば、変換効率を高められるとする。具体的な応用先は、パソコンやサーバーのDC-DCコンバーター、FPGAやマイクロプロセッサーなどに電力を供給するPOLコンバーター、GaN(窒化ガリウム)パワーデバイスを採用する高周波スイッチング動作のDC-DCコンバーターなどである。このほか、EMI(放射電磁雑音)フィルターなどにも使える。

 外形寸法は5.3mm×5.0mm×2.0mmと小さく、表面実装に対応する。インダクタンス(1kHzにおける値)は0.10μ〜47.00μHの範囲で、102品種を用意した。インダクタンス値の誤差は±20%。この102品種の中で最大の定格電流が冒頭の35.4Aである。直流抵抗(DCR)は低く抑えており、最小の品種が1.5mΩ(標準値)である。このためインダクターでの発熱量を抑えられるという。動作温度範囲は−55〜+155℃である。価格は明らかにしていない。