ドイツ・アウディ(Audi)は2018年10月15日、量産車の生産プロセスに機械学習システムを適用すると発表した。具体的には、プレス工程の品質検査に、短時間で微細な亀裂を自動認識する人工知能(AI)ソフトウエアを導入するという。

 従来のプレス工程では、プレス後のすべての部品を従業員が目視検査していた。また、プレスラインに小型カメラを備えて、画像認識ソフトウエアを使いながら撮った画像で評価することもしていた。

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AIを使ったプレス工程の品質検査
(写真:Audi)

 今回開発した新しい検査システムは、ディープラーニングをベースとしている。様々な形状の部品画像など、体系化されていない高次元データを使った特別な形式の機械学習を実施した。開発チームは、数カ月間にわたり数百万枚のテスト画像を使ってAIのニューラルネットワークをトレーニングした。開発中の最大の課題は、十分なデータベースの作成と、画像のラベル付けだったという。

 チームは、サンプル画像をピクセルごとに調べて亀裂を記録していった。この努力は報われ、AIはサンプル画像から学習し、初めての画像でも未知の亀裂を検出できるようになった。データベースは、同社のIngolstadt工場を含むいくつかのVolkswagen工場にある7台のプレス機から得た、数TBの画像で構成されている。

 これからの検査は、現在使われている光学クラック検査からスマートカメラを使った機械学習に変わるという。現在の方式では、ドアやエンジンフード、フェンダーなどの形状が変わるたびに、設定をやり直す必要がある。さらに、現在の画像処理プログラムの単純なアルゴリズムは、照明や表面特性などの環境要因に大きく依存するため、定期的に誤検出が発生していた。

 今後、目視検査をしている他の工程でも機械学習を採用できるようにする。十分な量のラベル付きデータセットを用意できれば、塗装工程や組立工程を支援することも可能になるという。