2017年上半期、筆者が企業eコマースに関連して思わず目を止めたニュースが二つある。一つめは、4月に「ラルフ・ローレン、NY5番街の旗艦店を閉鎖1し、新ECプラットフォームを導入へ」というニュースだった。実店舗をECプラットフォームで代替するという動きが、現実の売り場が重要とされるファッションの分野にも及んだからだ。

 二つめは5月に世界初の百貨店といわれる「モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン」(LVMH)傘下のボン・マルシェ百貨店(Le Bon Marché)が「LVMHブランドのオンラインでの販売を開始する2」という発表だった。LVMHは、2009年に「eLuxury」というECサイトを閉鎖した経験があるので、eコマースには手を出さず別の方法を模索しているのではないかと、筆者は勝手に思っていた。

 BtoC分野だけではない。2017年4月にBtoB分野で工具など業務用商品のネット通販を手がけるMonotaRO(モノタロウ)が大きな物流拠点を新たに構えたというニュースが話題となった3。そこにはピッキング作業のオペレーションを自動化するためロボットを導入し、従来の2倍の出荷能力や生産性を確保したという。

 なぜ企業は相次いでeコマースを強化するのか?

 筆者はその理由を、eコマースが、“最強”の顧客接点となるポテンシャルを持っているからではないかと考えている。顧客のさまざまなニーズに対応し、バーチャル(ECサイト)とリアル(店舗、営業など)との融合で顧客体験を向上させ、売り上げや顧客ロイヤリティを高められるのだ。

 日本におけるeコマース市場規模は、経済産業省の調査4によると2016年時点で300兆円を超えている。特筆すべきは、EC市場の成長率だろう。

 BtoC向けeコマース市場は2010年には7.8兆円だったものが、2016年には2倍近くの15兆円規模になるという。

 BtoB向けeコマース市場はさらに伸びる。2010年から2016年の7年間で30兆円を超える成長があり、EC化率(商取引市場規模全体に占める、電子商取引市場規模の割合)は3割に迫るという。

出典:「平成28年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」調査結果要旨、図表 1-2:BtoC-EC の市場規模および EC 化率の経年推移、図表 1-5:BtoB-EC 市場規模の推移
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1 http://investor.ralphlauren.com/phoenix.zhtml?c=65933&p=irol-newsArticle&ID=2259643
2 https://www.24sevres.com/en-fr/
https://www.lvmh.co.jp/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%EF%BC%86%E8%B3%87%E6%96%99/%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9/24-sevres-announcing-a-global-address-for-fashion/
3 https://www.monotaro.com/main/news/n/2393/643.pdf
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2017/04/0412.html
http://www.nikkei.com/article/DGXLASHD12H26_S7A410C1000000/
4 http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170424001/20170424001.html

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