新サービスの開発など、あらかじめ要件を定められないプロジェクトでは、アジャイル開発のスタイルが定着している。その手法の一つである「スクラム」がデファクトスタンダードとなっている。そのプロセスを“回す”役割がスクラムマスターだ。

 NTTデータ スマートソーシングの石井涼太氏は、スクラムマスターを担当して約3年。今入っているプロジェクトは、ある通信会社のニュースアプリにおけるバックエンドシステムの開発だ。開発チームは自身を入れて7人。フロントエンドは別会社が開発しており、APIでサーバーサイドの機能を提供する。

 このチームに入ったのは2016年夏。そのとき実は、スクラムのプロセスが機能していなかった。会議に参加しないメンバーがいたり、自発性の無いメンバーがいたりしていた。前任者が兼務で忙しく、スクラムマスターの役割を果たせていなかった。

 石井氏は、立て直しのために、毎日15分、スクラムの勉強会を開いた。スクラムの目的やプロセスを理解してもらうためだ。こうしたチームビルディングがスクラムマスターの最初の仕事になる。そのやり方は、飲み会の開催や小ネタで打ち解けることなど様々だ。プロダクトオーナー、開発メンバー、顧客の間の壁を無くす役割も担う。

 日々の活動もそうなっている。このプロジェクトでは2週間単位(この単位をスプリントと呼ぶ)でプロセスを回し、最初の月曜日にスプリント計画を立てる会議を開く。会議のファシリテーションはスクラムマスターの役割だ。

 この会議ではまず、プロダクトオーナーから要求(バックログ)の内容を説明する。何件もあるバックログのうち優先順位を提示、チームでその開発規模を想定する。想定の仕方は、過去のバックログとの相対値(ポイント数)で出す。スクラムマスターは、このスプリントでどれだけのポイント数をこなすか(ベロシティー)を示し、バックログの合計値がそれに収まるようにプロダクトオーナーやメンバーと話し合って調整する。

 次いで、各バックログを機能レベルのタスクに分解し、作業時間をチームで見積もる。スクラムマスターはタスク分解に必要な資料を集めるのが主な仕事。定めたタスク群は、プロジェクト管理ツール「JIRA」で構築したタスクボードで共有している。各メンバーは、毎朝15分の朝会(デイリースクラム)で、担当するタスクを自発的に選び、作業を進める。

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