新規事業の創出やビジネスモデルの刷新にITを駆使するデジタル変革と、多様で柔軟な働き方を目指すワークスタイル変革──。2つの大きな変革に挑むユーザー企業がITベンダーに望むのは、攻めのIT活用に向けて共に進む「伴走者」の役割だ。QCD(品質・コスト・納期)を愚直に守るだけでは期待に応えられない。IT製品とサービスを提供するベンダーへの評価を調べた「顧客満足度調査」から、デジタル時代に信頼できるベンダーの条件を探る。
調査対象は全国1万1621の企業または団体・組織の情報システム部門。新興市場を含む全国の証券取引所に上場している企業と年間売上高200億円以上の未上場企業、および官公庁(中央省庁)と村を除く地方自治体(都道府県、市、区、町)に対し、情報システム部門担当者あてにアンケートを郵送した。
調査期間は2017年5月8日から6月12日までで、1346件の有効回答を得た(有効回答率は11.5%)。調査は「日経コンピュータ」が企画した。調査の実施・集計は日経BPコンサルティングが担当した。
調査の回答者は、製品・サービスの部門ごとに勤務先で利用している製品やサービスのITベンダーを最大2社まで選択したうえで、5個ある評価項目ごとに4段階(満足、やや満足、やや不満、不満)で評価する。集計時は満足度が高い順に100点、66.7点、33.3点、0点と配点し、ITベンダーごとに満足度の平均値を算出。その結果に、回答した企業や組織に応じた係数を乗じた。係数は、企業については売上高に応じて設定し、非会社組織や官公庁/自治体、大学は一律にした。満足度の平均値に係数を乗じて算出した結果を、ITベンダーのスコア(点数)とした。
調査の回答者は5個の評価項目の中で重視している項目を、製品・サービス部門ごとに3個選択。選ばれた割合を算出し、その製品・サービス部門の「重視度」とする。ランキングの元となる総合満足度は、各評価項目の満足度のスコアを重視度に応じて加重平均して求めた。満足度とは別に「継続意向度」も調査した。回答者が選んだITベンダーの製品・サービスを次回も購入したいかを尋ね、4段階(ぜひしたい、まあしたい、あまりしたくない、絶対したくない)で回答する。満足度の算出方法と同じように、継続意向が高い順に100点、66.7点、33.3点、0点と配点し、ITベンダーごとに平均値を算出。それを「継続意向度」のスコアとした。継続意向度は顧客満足度の算出には用いていない。
目次
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データベースの満足度1位はIBM、オラクルは「コスト」で苦戦
首位は前回と同じく日本IBM。「信頼性」「コスト」「サポート」が全社平均を5ポイント以上上回った。
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マイクロソフトが1位に浮上、シンクライアントの顧客満足度
ランクインした3社の顔ぶれは同じだが首位と2位が交代。日本マイクロソフトが1位の座を獲得した。
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サーバー仮想化の満足度1位はヴイエムウェア、信頼性で高得点
順位、企業の顔ぶれとも前回と同じで、首位はヴイエムウェア。「信頼性」のスコアが全社平均より2.5ポイント以上高かった。
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日立が連覇、統合運用管理ソフトのサーバー部門
上位企業の安泰ぶりが目立つ。「サーバー/ネットワーク管理系」は日立製作所が連覇を成し遂げた。
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統合運用管理ソフト、Skyの強さが際立つクライアント管理部門
「クライアント管理系」はSkyが連覇を達成した。「性能・機能」「信頼性」「運用性」「サポート」のスコアが特に高かった。
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混戦を抜け出したIT企業は?セキュリティ対策製品の満足度
キヤノンITソリューションズが全ての項目で全社平均を5ポイント以上上回るスコアを獲得して首位に立った。
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パナソニックとソニーが競る、テレビではない分野で
新設部門の首位はパナソニックシステムソリューションズジャパン。「性能・機能」「信頼性」「運用性」のスコアが部門最高だったほか、「サポート」を合わせた4項目で全社平均を5ポイント以上上回った。