ITインフラ(システム基盤)の技術は、移り変わりが激しい。では、2019年にブレーク必至の技術は何か。IT分野のエキスパート5人による審査会を開催し、「ITインフラテクノロジーAWARD 2019」を選出。激論から導き出した“次に来る”技術を紹介する。

1位はこちら:「コンテナオーケストレーションツール」

 ITインフラテクノロジーAWARDで2019年にブレークが予想される製品・技術・サービスとして3位に選ばれたのは、米インテル(Intel)が開発した不揮発性メモリー製品「Intel Optane DC persistent memory」(以下、Optaneメモリー)だ。DIMMスロットに挿入し、メインメモリーとして動作する。

 主な特徴は、これまでのDRAMに比べて安価で大容量なこと、不揮発性のため電源断に強いこと、などが挙げられる。DRAMをメインメモリーとしてきたこれまでのコンピューター構造を変化させる可能性があり、審査員の賛同を得て、3位という結果になった。

Intel Optane DC persistent memory
出所:米インテル
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 Optaneメモリーは、前年のITインフラテクノロジーAWARD 2018でもノミネートされたが、製品は登場していなかった。ITジャーナリストの新野氏は、「現状ではXeonプロセッサー(コード名:Skylake-SP)との組み合わせが前提だが、お金を払えば使える状態になったのは大きい」と語る。

システムのパフォーマンスを大幅向上

 Optaneメモリーは、ストレージから取得したデータをCPUの近くに大量に保持できるメリットがある。これにより、データ転送時の待ち時間を減らすことができ、システムのパフォーマンスを大幅に向上できる。

Optaneメモリーの配置イメージ
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 近年、全てのデータをメモリー上に保持して処理する「メモリー指向アーキテクチャー」が注目されている。Optaneメモリーは、このメモリー指向アーキテクチャーの1つであるインメモリーデータベースなどへの用途が見込まれる。

 インメモリーデータベースは、メインメモリー上にデータベースを保持して高速なデータベース処理を実現する。しかし、サーバーに大容量の高速なメインメモリーを搭載しなければならず、ハードウエアのコストが増加してしまうという問題があった。Optaneメモリーは、1モジュールの最大容量は512ギガバイトと大きく、しかもDRAMに比べれば安価に大容量のメインメモリーを準備できる。インメモリーデータベースを構築する上でのコスト問題を解決できる。

 Optaneメモリーは不揮発性メモリーなので、電源を遮断してもデータは残る。このため、不揮発性メモリーにデータを残して、マシン起動時に利用できる。SSD/HDDなどから主記憶に初期データを転送する必要がなくなるため、起動時間の短縮が見込める。

 ただし、Optaneメモリーに使われているメモリー素子は、DRAMではなくインテルと米マイクロンテクノロジー(Micron Technology)が共同開発した「3D XPoint」である。書き込み速度は一般的にフラッシュメモリーを用いたSSDより高速だが、DRAMよりは遅い。そこで、書き込みが頻繁な処理にはDRAMを使い、そうでない処理にOptaneメモリーを利用するといった構成が求められる。